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大反響のNスペ「戦後ゼロ年 東京ブラックホール」のディレクターが描き出す「日本人が知らない〈占領都市TOKYO〉の本当の姿」とは!?

IGNITE / 2018年12月28日 13時0分

それから、アメリカ人が贅沢な暮らしをしているところもダメ。その財源は日本が出したお金、「終戦処理費」ですから。日本人のお金で、アメリカ人がものすごく贅沢して、箱根や熱海の温泉に行っておいしいものを食べている。そういう映像が残ると都合が悪い。「民主主義を日本に植え付けようとしているはずなのに、おかしいじゃないか」ということになる。

佐藤:ダブルスタンダードというか。彼らにとって都合の悪いものを隠すということですよね。

貴志:でも、オーストラリアは、なんかゆるくて撮っていた、残っていたというね(笑)。

佐藤:番組で紹介していたオーストラリアの映像は個人が撮影したものですか?

貴志:そうです。アメリカ人はプライベートで撮っていたとしても、世には出さないということかもしれないですね。それでもアメリカは日本とは比べ物にならないくらい情報公開をしています。

本の中でも詳しく書いていますが、日本は戦争に負けたときに機密資料を全部燃やしています。市ヶ谷の陸軍省や霞が関の海軍省・外務省・内務省・大蔵省、三宅坂の陸軍参謀本部ビル。玉音放送の直後から各所で公文書の焼却が始まり、三日間ずっと煙が上がったというんですから。

■日本人はいまだ、敗戦という「表の歴史」を受容できていない?

「表の歴史」、いわゆる正史と「裏の歴史」があるとすると、この本は「裏の歴史」を扱っているともいえる。しかし、そもそも、日本は結局敗戦しているわけだから、「敗者の歴史」が正史としてあるはずだが、それは、あまり語られていない。

「教科書にはいろいろ書いてありますが、ほとんど神話や伝説のようなものに思えます。正史自体がありえないのかもしれない。神話で終わってしまって、今につながる受け止め方ができないから。日本は何かあっても、次の日にはすぐ忘れてしまう国なので」というのは、番組ディレクターであり、著者の貴志謙介氏。

「忘れ去られたことがある、知られていないことがある――そういう歴史の断片を拾い集めて伝えようと思っただけなんです。今、歴史観が変わりつつあると思うんです。資料も公開され始めましたし、映像も発掘されてきた。私が知っている研究者の方々も、新しい研究を次々と始めています。そうすると、正史の方もある意味でクリアになってきて、「裏の歴史」の持つ意味もわかってくるのではないか。表と裏がどうつながっているのか見えてくる――そう進んでくれればいいなと思うのですが」(貴志謙介氏)

平成が終わる今、歴史を振り返ってみてはいかがだろうか。

(Takako.S)

『戦後ゼロ年 東京ブラックホール』(NHK出版)

著者:貴志謙介
定価:1,836円(本体1,700円)
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817482018.html

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