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夭逝の小説家・国木田独歩とイギリス風景画の世界。茅ヶ崎市美術館でその瑞々しい感性に触れる企画展

IGNITE / 2023年6月5日 19時30分

夭逝の小説家・国木田独歩とイギリス風景画の世界。茅ヶ崎市美術館でその瑞々しい感性に触れる企画展

明治時代を代表する小説家・国木田独歩。結核の療養中、わずか36歳でこの世を去った独歩は、その瑞々しい感性で素朴な自然にロマンを見いだす新たな表現を確立したとされる。

独歩の自然観を近代イギリス風景画の流れとともに振り返る企画展が茅ヶ崎市美術館で行われる。期間は6月18日(日)~8月27日(日)、開館25周年記念企画展「イギリス風景画と国木田独歩」と題しての開催だ。

国木田独歩に影響を与えたウィリアム・ワーズワース

武蔵野の美しい風景を瑞々しい文体で描写した『武蔵野』は、国木田独歩の代表作とされる。作品に大きな影響を与えたのは、イギリスのロマン派詩人ウィリアム・ワーズワースだ。

産業革命や市民革命を経て近代市民社会が成立した18~19世紀のイギリスでは、素朴で飾らない自然の風景に対する関心が高まりをみせた。

リチャード・ウィルソン《キケロの別荘》 制作年不詳 油彩・キャンバス 郡山市立美術館蔵

ワーズワースは湖水地方を題材にして詩をつくり、ジョン・コンスタブルは故郷の豊かな風景を、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーは光と色彩に溢れた自然を描いた。伝統的な風景画が刷新され、西洋風景画の頂点が築かれた時期と呼べる。

ジョン・コンスタブル《デダムの谷》 1802年 油彩・紙、キャンバス 郡山市立美術館蔵

企画展では郡山市立美術館と府中市美術館の協力を得て、前述のコンスタブルやターナーのほか、ジョン・マーティン、サミュエル・パーマーなどの画家たちにも焦点をあて、近代イギリス風景画の流れをたどる。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《コニストンの荒地》 1797年頃 水彩、鉛筆・紙 郡山市立美術館蔵

さらに、名所絵的に描かれることが多かった日本の風景画が明治以降どのように描かれるようになったのかをたどり、イギリス風景画の受容についても考察する。

アルフレッド・イースト《富士山》 制作年不詳 油彩・キャンバス 府中市美術館蔵

その鑑賞体験は、そのまま独歩の自然観の理解にもつながる。期間中は作品をより深く理解できる関連イベントも開催される。

講演会「イギリス風景画のきらめき」

7月23日(日)14:00-15:30には講師に郡山市立美術館・主任学芸員・富岡進一氏を招き、「イギリス風景画のきらめき」と題した講演会を行う。会場は同市内の高砂コミュニティセンターで定員30名。

料金は無料だが、6月18日(日)10:00より電話または美術館受付にて開館時間内に申し込む必要がある。

ゲストトーク「日本近代美術とイギリス風景画」

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