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塗師・赤木明登の工房へ。そして優しい能登のイタリアン【LEXUS×VOGUE JAPAN アメイジング エクスペリエンス in 金沢レポートその3】

IGNITE / 2014年11月12日 18時42分

清々しいような懐かしいような余韻とともに工房を後にする。向かったのは赤木氏のゲストハウス。

風通しの良い建物の1階は、畳敷きの大広間だ。親しい人達を招いて開かれる大宴会の様子を聞けば、謹厳な塗師の横顔とはまた別の、誰より洒脱で遊び上手な赤木氏の一面が顔を覗かせる。



ゲストハウスの奥に入ると、吹き抜けの部屋に一面の書棚。足の裏に吸い付くような感触にふと床を見ると、一面の漆塗りである。建物のそこかしこには漆器が置かれ、2室ある寝室の浴室にもふんだんに漆が施されている。なんという贅沢。ここに招かれる客人たちを羨ましく思わずにはいられない。

最後に案内された茶室は、古い土蔵の2階にあった。暗がりの密室に腰をかがめて入ると、すべての音が消えたような、それでいてすべての密やかな音が聞こえてくるような不思議な感覚におそわれた。

ここで一旦、赤木氏とはお別れに。ただし夫妻は今夜の我々の宿を訪ねてくれる予定でもある。彼らを囲む夕食を楽しみにまたロングドライブに出発する。


波しぶきを真横に受けながら海沿いの道をたどり、期待の昼食は、“イタリアンの民宿”というユニークなコンセプトを持つ『ふらっと』で。以前、この建物は『さんなみ』という料理民宿だったそうだ。地の食材を使った宝物のような伝統食の数々は、グルマン達の間で伝説的に語られている。


「父は完璧主義なんです。だから引退したんですよ」と『さんなみ』のご主人を語るのは、長女である智香子さん。現在の『ふらっと』は彼女と、その夫でシェフのベンジャミン・フラット氏が切り盛りしている。オーストラリア出身のシェフが腕をふるうイタリア料理は、能登の食材をふんだんに取り入れたもの。

伝統の魚醤「いしり」の風味が、カボチャの甘みに一本筋を通すスープ。いしりをはじめとする様々な発酵食品や保存食は手づくりだ。イカスミのソースをたっぷり敷いた手打ちパスタは、食べ進めるうちにイカの風味が豊かに増していく。

地の魚『なめらばちめ(キジハタ)』は、1人に1尾。さりげない味付けが白身のしとやかな旨さを感じさせてくれた。

「イタリア料理というのは郷土料理なんです。イタリアンをつくるときに地元の食材を使うというのは、とても当たり前のこと」と夫妻は語った。無理な和洋折衷ではない、純正なイタリアンであり真っすぐな地元料理でもある品々に、あたたかな思想を感じた。

笑顔に見送られ、今夜の宿へ。北陸随一の古湯、山代温泉にむかって能登半島を一挙に縦断した。

 LEXUS AMAZING EXPERIENCE

(くぼきひろこ)

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