【レクサスRC F試乗記】ゆっくり走っても楽しい&気持ちいい! 誰もが楽しめるスポーツクーペ
IGNITE / 2014年11月19日 6時0分
2007年に登場したスポーツセダンIS Fは、これまでトヨタ/レクサスが開発したことのないハイパワーFRスポーツとして開発された。開発手法や商品企画を含め、ある意味レクサスの異端児的なモデルであったが、多くのファンを獲得したのは事実である。
今回登場したRC Fの使命は、IS Fの後継モデルではなく、限定500台を販売完了したLFAが“神話”となった今、レクサス「F」のスポーツイメージをより際立たせることであった。ちなみに2ドアのクーペボディを採用したのは、モータースポーツ参戦のベース車両にしやすいためである。
開発コンセプトは「走りを楽しみたい人なら誰でも、運転スキルに関係なく笑顔になれるスポーツカー」だ。つまり敷居は低いが奥が深いモデル…というわけだ。実はこのコンセプトはIS Fをベースにしたレーシングカー「CCS-R」と同じである。
実はRC F開発時にベンチマークになったのは、BMW M4やAMG C63、アウディRS4などではなくCCS-RだったとRC F開発責任者の矢口幸彦氏は語る。
そんなRC Fの本気度は、サーキットのようなフィールドではなくても乗ればすぐに体感できる。今回、一般道~高速道路を中心に試乗を行なったのだが、ファーストインプレッションは「もしかしてRCと乗り間違えたのか?」と思うくらいの快適性の高さだった。
IS Fは毎年の進化/熟成により洗練された乗り味になっていったものの、じゃじゃ馬のような荒々しさが残っていた。しかし、RC Fは他のレクサスラインナップと同じ滑らかさ、扱いやすさがある。
確かに乗り心地は硬めではあるものの、剛性感の高いカッチリとした車体にバネ下の重さを感じさない軽やかな足の動き、吸収性のいいサスペンションのおかげで快適だ。つまり、RC Fはグランドツアラーとしての素質もあるのだ。
エンジンはV8-5.0Lの自然吸気ユニットに8速ATの組み合わせだ。市街地ではおしとやかで静かで扱いやすいので、とても477ps/530Nmとは思えない。低負荷走行時には「アトキンソンサイクル燃焼」になり4.2L相当になるため、燃費計の針も平気で10km/Lオーバーの値を指す。
ただし、一度アクセルを踏み込むとこのエンジン本質が見えてくる。ダウンサイジングターボのように領域からでもわき出るトルクとは違い、回転の上昇に合わせて盛り上がるトルク、7000rpmに引き上げられたレッドゾーンまで一気に吹け上がるレスポンス。やはりNAエンジンは気持ちいいと思わせてくれる。
8速SPDS(スピードダイレクトシフト)は普段は滑らかなATだが、Mモードにすると高い応答アップシフト/ブリッピングダウンシフトとDCTいらずのトランスミッションに仕上がっている。
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