銀座ギャラリーにて小野海「FELT SENSE」展、“言語化”人気の今、言語化の困難な身体感覚を表現
IGNITE / 2024年11月11日 17時30分
書名に「言語化」が含まれる書籍は売れ行き好調、SNSで「言語化ありがとう」とリプが飛び交うご時世だが、この世には言語化不能なものもあるはずだ。
「言語化の困難な身体感覚(FELT SENSE)」を提示する小野海「FELT SENSE」展が、11月12日(火)~11月30日(土)の期間、銀座にあるギャラリー「ART FOR THOUGHT(アートフォーソート)」で開催される。
藝大彫刻出身の小野海氏による「FELT SENSE」小野海は1995年兵庫県生まれ、2020年に東京藝大の美術学部彫刻専攻を卒業。2022年に同大学院彫刻専攻を修了して以来、グループ展に4度参加、個展を2度開催するなど積極的に活動する。
2023年にはフジテレビ「Core」や日テレ「Art house」にも出演し、注目を集めている。同年のコレオグラフィーモンタージュ舞台「タイタス・アンドロニカス」では舞台美術を手掛ける一方、自ら出演も。
これまで知覚の存在を立体的に立ち上げてきた小野氏。「Prism」シリーズでは、彫刻的に構築した不可視や知覚に虹色の糸を張り巡らせることで、知覚の多彩さや構築の広がり、ほつれや儚さを表現。それらを総体的な”知覚” として表現した。
展示初日の作家在廊のオープニングレセプションでは、冒頭30分のアーティストトークで登壇する。
新シリーズ「FELT SENSE」でも知覚の立ち上げを追求不可視の知覚を立ち上げてきた小野は、関心の対象を知覚主体としての身体へと広げたようだ。
今回の「FELT SENSE」シリーズは、「Prism」と同様に知覚の立ち上げを目指しながら、 そこに複数性と拡張性の共在、そして血肉のうごめく身体性に迫ろうとしたもの。
さまざまな色が滲み混ざり合うフェルトの生地と、それをぶっきらぼうに繋ぎ止めたホッチキスの芯から成るシリーズには、境界の曖昧さと拡張性が共存。
人々がシーンや相手に合わせて複数のキャラクターを使い分けていること、それに疲弊や混同を感じていること、IoB(Internet of Bodies)に象徴される身体拡張の試みなどを想起させる作品だ。
継ぎはぎの自己は古典的怪物に通じる歪さもまた、ホッチキスでフェルトが継ぎはぎされている点は、人間の技術によって無理やり形をつなぎ留められたフランケンシュタインの怪物にも通じるものが。
平面のはずのフェルトが波打つ形状は、内側に脈打つ肉体の存在をも思わせる。
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