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1300年の歴史を誇る岩井温泉── 山陰の名旅館「岩井屋」を訪ねて

IGNITE / 2015年6月4日 21時36分

1300年の歴史を誇る岩井温泉── 山陰の名旅館「岩井屋」を訪ねて

鳥取県岩美郡、国道9号線沿いに山陰の存在する岩井温泉。

知名度こそあまりないかもしれないが、1300年の歴史を誇る山陰最古の温泉として知られている。「国民保養温泉地」に指定されているのが本物の証だ。

「岩井屋」は創業130年、江戸時代から続く老舗旅館で、「日本秘湯を守る会」の加盟宿にもなっている。

小雨模様の山陰道を西に車を走らせていくと、左に小さい岩井温泉への案内板が現れる。標識の示す先には「秘湯の宿」のある温泉地というには拍子抜けするような田んぼの中ののどかな道が続いている。温泉街に到着すると温泉宿が点在し、「岩井屋」はそのひとつ、木造三階建てで趣きがある。

チェックインを済ませ、部屋に向かうまでの廊下のそこここに重厚な調度品が鎮座しており、なるほど宿の歴史を感じさせられる。

部屋で昆布茶を煎れていただき、館内の説明を受ける。日本百名湯にも選ばれたことのある温泉は自然湧出で掛け流し。しかも湯船だけではなく、シャワーにも掛け流しの温泉が使用されているというから、心は一気に大浴場へといざなわれる。

仲居さんが部屋を後にするやいなや、浴衣に着替えタオルと洗面道具を持っていそいそと大浴場へ向かった。

中庭の見える渡り廊下を過ぎると男女別の大浴場と貸切湯がある。まずは大浴場から拝借。こちらの「長寿の湯」の脱衣所には湯船が見下ろせる大きい窓がしつらえてある。

覗くとまだ誰もいない。今なら湯船を独り占めだ。逸る気持ちを抑え、脱いだ浴衣を籠に入れ浴場への扉を開きそそくさと洗い場へ。

軽く体を流し、ようやくそろりと湯船に足を入れる。浴槽の中の石段は水面から浅く、そこに腰掛けてみると足が底に届かない。これが名物の深い浴槽で、立ってみると確かに胸元まで温泉に浸かる。湯は足元に敷いている木板の隙間からふつふつと湧いてくる。新鮮極まりない。

見上げると木の壁のステンドグラスの照明、天井が高いので広く感じる。肩まで湯に浸かると、ふう、と溜め息がこぼれる。

飲泉用の湯出口があるので一口。無味無臭のはずだが、ふわっと硫黄臭が感じられるのは気のせいか。格子の硝子戸の向こうには露天風呂「露天背戸の湯」がある。

街中なので眺望はないのであるが、こちらも源泉掛け流しの温泉で、温まった頬を外気がさーっと撫でていくようで気持ちがいい。

まったりと温泉を堪能していると家族連れらしいグループがやって来たので「ひとり貸切大浴場」は終了。婦人の湯をお暇(いとま)することにする。

帰り際、ふと見ると貸切風呂「よいまち草」があいていたのでこちらも拝借する。無料で予約不要、あいていれば入れるシステムだ。大浴場と比べればはるかに狭いのだが、見知らぬ人と一緒にならないという贅沢は貸切湯ならではである。


温泉で温まり、部屋でのんびりしているうちに夕食の時間になる。食事は夕・朝食ともに部屋出し。

ドリンクは梅酒をロックでいただく。テーブルには綺麗に作られた前菜や但馬牛のしゃぶしゃぶ、松葉ガニ、特産の猛者えびのお造りなどが手際よく用意される。


良質の温泉に浸かり、もてなしの食事、至福の時間を味わうに余りある山陰の名旅館である。

住所: 〒681-0024 鳥取県岩美郡岩美町岩井544
電話:0857-72-1525
サイト:鳥取 岩井温泉 岩井屋

(小椚 萌香)

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