醜くて素晴らしかった、仮面ライダーフォーゼ。

インフォシーク / 2012年7月25日 17時0分

:顔を無くし、仲間にボコられ、悪玉に捕まって生贄にされるヒロイン。

中学生のとき、教室に置いてあった女子生徒ブルマが、一夜にして全て盗まれた。その華麗な手口から「ルパン三世」と我々(男子生徒一同)が呼んだこの犯人は、しかしながらあっという間に逮捕される。多くのブルマを抱えて闇に消えた怪盗は、免許証を落としていったのである。浅はかな怪盗であった。

例えが例えだが、とにもかくにも人間は浅はかである。このような個人単位の浅はかさは、なんだか笑えることも多い。が、これが集団単位となるとタチが悪いこともある。

第44話(7月22日放映)の仮面ライダーフォーゼは、素晴らしく浅はかで、醜かった。

前話で、自分の偽者にその存在自体を乗っ取られ始め、とうとう顔を失ってしまったヒロイン・清水富美加。顔を失った姿を仲間に見られると自分が偽者と思われると、彼女が仲間から逃げまわるところから、第44話はスタートする。

通常の流れなら、まぁ、そんなこと言いながらも、彼女を探し当てたときには仲間たちが、

「顔が無くたって、オレたちにはわかる! オマエは本物だ!」

くらいのセリフをキメるストーリー展開のはずだ。

が。今回のフォーゼは全然違った。

顔を失ったヒロインを見つけた仲間たちは、なんと、全員で彼女を罵倒したのである。

「偽者め!」
「偽者が!」
「偽ユウキ(←ヒロインの役名)!」
「偽者ちゃ~ん!」
「偽者!」
「偽者が!」

繰り返されるこの言葉、かなり怖い。

直後、主人公が仮面ライダーに変身。無抵抗のヒロインをボッコボコにし始める。周囲が「いいぞ!」「いいぞ!」とはやしたて、さらに調子に乗る仮面ライダーフォーゼ。いつもより動きもキレキレだ。

そう、これがまさに集団単位の、タチの悪い浅はかさであると私は思う。

みんなでいることでトランス状態になり、自分たちがしていることに気づけない、と表現すべきか。

今回の仮面ライダーフォーゼは、子供向け番組にも関わらず、そんな浅はかさもしっかりと表現されていた。いじめなど色々な問題がはびこる今、今回のフォーゼを見て(もちろん、子供が単純にわかるものではないが、それでも)ぜひ子供たちに、この異様な感覚を知っておいてほしいように私は感じたのだ。

仮面ライダーフォーゼは、あと数話で最終話だ。だからであろうか、ここに来てスタッフの皆さんが、今回のようなさらにレベルの高い創意工夫、飛びぬけた表現を次々と魅せてくれている。

もうすぐ終わる仮面ライダーフォーゼ、ちょっと見てみてはいかがだろうか。

ガッケンター
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターTV」(インターネット)の製作をしている。

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