真田丸「望みを捨てぬ者だけに道は開ける」と管理職/増沢 隆太
INSIGHT NOW! / 2016年12月28日 6時0分
増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ
1.バッドエンドという宿命
昔の大河ドラマが大好きな私は、古くは「風と雲と虹と」や「花神」「獅子の時代」など様々なドラマをセリフを暗記するほど見まくりました。正確には大河ドラマではなくNHK新大型時代劇として放映されたのですが、「真田太平記」はおもしろすぎて終わるのが嫌になるほど熱中しました。(なので信繁より左衛門佐がしっくりくる)
しかし歴史ドラマの結末は常にネタバレしています。大坂夏の陣がどうなったかは小学生でもわかる史実。真田丸でもどれだけ主人公・幸村が活躍したところで、歴史を変えることはできません。決まっている結末にもかかわらず、幸村は「望みを捨てぬ者だけに道は開ける」という、真田一族のメッセージを掲げて最期まで戦い抜きます。その姿勢が共感を呼んだのだと感じます。
圧倒的軍事力で徳川軍に包囲された大阪城が、何をどうやったところで勝つというエンディングは考えられません。そんな中で幸村は常にポジティブな思考を持っただけでなく、不利な中でもでき得る最善手を次々と打っていきます。これこそが幸村の指揮官としての最大の力ではないかと思います。
2.「捨てなかった」だけではない
不利な豊臣勢を率いる幸村の行動は、望みを捨てなかっただけではありません。圧倒する徳川軍の布陣の前でも希望を捨てず、出城を築いて攻撃を仕掛け、敵の弱点に向けてゲリラ戦を行い、影武者も交えて大将家康を狙うなど、攻撃の手を緩めません。つまり不利な戦況に呑まれることなく行動できたことこそ幸村の凄さです。
ここは作戦行動においてとても重要です。戦争は単純な戦力差だけで勝敗が決まるのではありません。古来ゲリラ戦など、少人数で大軍を打ち破る戦闘はいろいろありました。その際に重要なことはモラール(士気)です。
ただ単にポジティブな思考で戦いに勝つことはできませんが、劣勢に立てば冷静さを失い、打てる手があっても気後れしたり、決断が鈍ったりするのが人間の性。味方の内紛を煽る徳川勢の調略は、元々信玄の眼と呼ばれた、真田昌幸が得意とする戦法でした。昌幸の息子である幸村はこうした流れの転換についても学んでいたのかも知れません。
戦いは必ず流れがあります。敵が優位に見えても乾坤一擲の逆転のチャンスはあり得る訳で、次々と策を打っていく指揮官に兵士は士気を燃え上がらせます。望みを捨てないという受け身なことではなく、自ら道を開いていったから「道は開けた」という、当たり前のことなのかも知れません。しかしそんなことが実現できた武将は決して多くはないのです。
3.格言「兜町は明日もある」
株の格言はビジネスの時機も現しています。「トランプ氏が大統領になれば超円高」とほとんどの評論家が言っていたように、後講釈ではいかようにも説明はできます。しかし上がったり下がったりするのは株や為替の相場だけではなく、ビジネス環境のすべてだともいえます。
良い時も悪い時もあるのです。わかっていても悪い目で気落ちしてしまうのが人間。しかしそうした人間心理の本質の裏を行った幸村の姿勢は、戦略観として正しいといえます。またそれは単に天運や偶然、他人の助けを待つようなものではなく、気持ちに負けずに次の手を着々と打っていったその姿勢にあるといえるでしょう。
良い時は周囲がいかようにもチヤホヤしてくれます。しかし落ち目になった時にいかに行動できるか、「望みを捨てぬ者だけに道は開ける」とはそうした教訓なのだとあらためて思います。
指揮官は現代でいえば管理者です。時流に流され、士気を考えないのは指揮官の資格がありません。ダメな時でも望みを捨てさせない、そのために次々と手を打たせることが出来ることは、管理者にとってきわめて大切な素養だと思います。
この記事に関連するニュース
-
“一発よりも率” 阪神・井上は指揮官望む「3番道」進む 「まずはヒットを積み重ねることが大事」
スポニチアネックス / 2024年5月14日 5時17分
-
【戦国最強の武将はだれだ!?】有名な戦国武将たちのリアルファイトを迫力満点のイラスト&CGで紙上に再現!『戦国武将10番勝負』発売!
PR TIMES / 2024年5月4日 23時40分
-
豊臣秀吉でも上杉景勝でも石田三成でもない…家康が生涯で最も苦しめられた戦国最強の「くせもの武将」【2023編集部セレクション】
プレジデントオンライン / 2024年5月4日 9時15分
-
プロの“関心集める”逸材小学生への条件 野球上手でも…希少枠に「選びにくい」難点
Full-Count / 2024年4月30日 7時50分
-
城田優 大河ドラマ「天地人」真田幸村役を1度断っていた「自分なんかがやっちゃいけない」
東スポWEB / 2024年4月24日 17時22分
ランキング
-
1100円ショップは仕入れ値95円で悲鳴… エアギター選手権は中止に… 歴史的円安の影響どこまで?【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月14日 12時28分
-
2NVIDIA急伸に「追い風受ける日本企業」はここだ 沸騰する半導体市場の最前線をQ&A形式で解説
東洋経済オンライン / 2024年5月14日 7時20分
-
3歴史的円安でも外食最大手ゼンショーHDは過去最高益 「海外進出」が好調 アメリカで展開の寿司店や中国出店の「すき家」など
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月14日 16時49分
-
4“バズる”地方創生請負人が語る、これからの地方。発展のキーワードは「海外進出」と「女性の雇用創出」地域活性化の弊害は「お金を吸い上げていく東京の大企業」
集英社オンライン / 2024年5月14日 8時0分
-
5シャープがテレビ用大型液晶パネルの生産停止を発表 かつては日本の電機産業をけん引…1499億円の最終赤字
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月14日 16時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください