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​RPA導入を成功に導く5つのポイント提言/赤秀 有為

INSIGHT NOW! / 2018年4月18日 14時39分

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赤秀 有為 / エフィジェント株式会社

RPAとは「ロボティクス・プロセス・オートメーション」の略で、ソフトウェアロボットによって、ホワイトカラー定型業務のPC操作を自動化させるものである。簡単なイメージとしては、(マウスやキーボードの操作手順を記憶させて自動実行できる)エクセルのマクロ機能があるが、この機能をWebブラウザや他のアプリケーションでも可能にしたものといったところである。

このRPAだが、今、働き方改革を進める企業より、大きな注目を浴びている。昨年、金融機関を中心にRPA導入が一気に進み、大変大きな成果を得られた様である。三菱UFJフィナンシャル・グループは「国内の事務作業の自動化やデジタル化で9500人相当の労働量の削減を実現したい」(2017年9月19日の日本経済新聞)、三井住友フィナンシャルグループでは、「これまでにRPAによる自動化で約200業務、40万時間の業務量削減を実現しており、今年度末迄には100万時間、3年以内に300万時間(約1,500人分の業務量)以上の業務削減を実現」(2017年11月13日のニュースリリース)といったRPA積極活用のコメントが発表された。

こういった事もあり、今年はRPA元年とも言われ、早くも他の業界や中堅・中小企業にも浸透し活況で、ちょっとしたブームの感がある。ただ、RPA導入での失敗例もあり、筆者のこれまでの経験を踏まえ、RPA導入を成功に導く5つのポイントを提言していきたい。

ポイント1.目的は、人員削減ではなく、高付加価値業務へのシフト。

RPA化によって、対象業務の遂行者は、従来の人からソフトウェアロボットに置き換わる事になる。その為、RPA導入目的は、「人員削減数」をKPIに据えたコストカットの方向に行きがちになる。但し、これでは、RPA導入が推し進められない。なぜなら、RPA化では、対象となる業務の細かい手順やルール等をRPAシナリオとして落とし込む必要がある。その為、既存の業務担当者の協力が不可欠なのである。

自分の業務内容が、ソフトウェアロボットに奪われるというのでは、なかなか積極的になりづらいところである。出来れば、仕事を無くす方向ではなく、より非定型な高付加価値業務へのシフトで収益向上といった前向きな方向の目的とする事が望ましい。

ポイント2.RPAツールは(はじめは)安価なものが無難。

現状のRPAツールの価格には、とても大きな開きがある。各社の価格体系は、殆どがライセンス利用料といったものだが、年間1000万円クラスの高価なものと100万円から数十万円クラスの安価なものとざっくり2つに大別される。高価なものは、サーバー内で複数のロボットが動作する「サーバー型」で、比較的 大規模向け。一方、安価なものは、一部サーバー型もあるが、複数のPCで動作する「デスクトップ型」が主流で、比較的中~小規模向けである。

大手企業では、将来の拡張性を見越して 高価なものを選択するケースが少なくない。ただ、導入して間もないにも関わらず、安価なものにリプレイスするといった話をよく聞く。コスト負担が厳しく、また安価なものでも充分要件を満たせるものがあるとの判断である。逆に、安価なものから高価なものといったリプレイスの話は聞かない。あまりよくわかっていないはじめの導入では、高価を選ぶ必然性の無い限り、安価なものを選択しておくのが無難と言えよう。

ポイント3.PoC導入で効果を実証し、関係者を巻き込む。

PoCとは、Proof Of Conceptの略で、概念実証を意味する。PoC導入とは、簡単に言うと、本格導入前のいわゆるパイロット導入やお試し導入といったものである。最近では、PoCを実施後 ほとんどが本格導入に進むとされており、PoCのプロセスを省略し いきなり本格導入に踏み切る企業も少なくない。

ただ、筆者は、それでも このPoC導入は実施した方が好ましいと考える。PoC導入を実施する事で、現場で効果を実証できる。その為、懐疑的だった関係者もより強く巻き込む事が可能となる。巻き込んだ上での本格導入の効果は言わずもがなである。また、効果実証を確実なものとするためにも、PoCでは、技術的に難易度の高い処理は避けた方が得策である。例えば、多くのツールにはOCR技術は実装されているが、(特に日本語では)誤認識する事も少なくないので、こういった技術は避けた方が良い。

ポイント4.業務の分析/評価に、時間とお金をかけない。

RPA化のメリット/期待は、なんといっても業務の自動化によるROIにあるかと思う。(もちろん、ソフトウェアロボットは作業ミスが無い為、業務品質向上の側面もある。)ほとんどのケースで、良いROIを実感できるのだが、たまに導入コンサルティングの費用が膨らみ過ぎて期待通りに行かないケースがある。何の為に導入しているのか、、本末転倒である。

RPA化では、通常のシステム開発の手続きをより簡素化したものにすべきである。対象業務を選定する際、通常であれば、業務を洗い出して 作業工数や煩雑性などの指標を元にRPA化の優先度を評価し ドキュメント化してミーティングといった流れになるかと思う。RPAでは、極端に言うと、事前のドキュメントは作らずに、現場関係者とのミーティングだけで、ある程度感覚的に決めてしまう。またRPAシナリオを作成する際にも、通常では、現場担当者から操作手順をヒアリングしてパワポでそのフロー図を作るといった事が一般的な流れだが、実際に画面操作してもらい それをビデオで録画するだけ(ドキュメント化はしない)といった徹底的に省力化する方が上手くいっている様に見える。

ポイント5.本格導入の主体者は、ベンダではなく、自社メンバ。

RPA化は、既存システムの操作をシナリオとして記録し自動化させている為、既存システム自体の変更が成された場合、RPAシナリオもあわせて修正する必要が起こりうる。結構な保守工数が必要となってくる。また、RPAは、対象業務を拡大させていく事で効果がドンドン高まっていき、発展性がある。そのため、現場担当者が自発的にRPA化していく事が望ましい。

導入後も現場でRPAを使いこなせる人員がいる事が望ましく、これをベンダー任せにすると 時間もお金も大きな負担である。RPAツール自体は、それほど難しいものでもなく、学習すれば 必ず自社メンバでも使いこなせるものである。なので、RPA本格導入については、ベンダーサポートを受け、学習しながら自社メンバで進めるというのが望ましい形である。

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