フリーエンジニアをブランド化するプラットフォーム「PE-BANK」の成果を発表
ITライフハック / 2015年4月23日 13時0分
首都圏コンピュータ技術者は2015年4月15日、都内の会場で発表会を開催し、同社が2014年10月から取り組んできた、フリーエンジニアのブランド化プラットフォームである「PE-BANK」の現状について説明するとともに、マイナンバー制度の導入に伴う、ITエンジニアを取り巻く環境についての勉強会を開催した。
まず登壇した首都圏コンピュータ技術者株式会社の代表取締役社長である齋藤光仁氏は、いまのIT技術者を取り巻く環境について、エンジニアの不足、マイナンバー制度の導入に伴う、個人情報に関する意識とシステム、派遣法改正が及ぼすITエンジニアの働き方に関する問題について言及した。
まず同社が、15名のITフリーランスで立ち上げた協同組合をルーツとしていることを示しながら、フリーランスとして仕事をするITエンジニアの共感を得て参加する人が増え、どんどんと組織が大きくなり、2007年10月には株式会社として組織変更し現在に至ったとのこと。「フリーランスのITエンジニアをサポートする日本最大級の企業として、多様なクライアントのシステム開発の現場でに、多様な要望に応えられる2000名を超えるITエンジニアが活躍している」(齋藤氏)。
フリーランスとして仕事を始めようと思ったときに重要なのは顧客の確保だけでなく、経理や総務といった開発以外の煩雑な業務も発生する。同社はこれまで、こうしたフリーランスの営業・総務・経理といった部分をサポートし、効率よく実力を発揮できる環境を整えてきた。同社がサービスをしている「まるごとサポート」では、フリーランスでは受注できないような大型プロジェクトを、ほかのフリーランスと共同受注することによって門戸を広げるなど、安定した案件の獲得を可能としてきた。ほかにも福利厚生や教育サポートといった分野でも支援をするほか、確定申告などについても委託税理士を通じてエンジニアをサポートしてきたとのこと。
このほかクライアントの契約内容についても、お互い対等な立場で一つの会社を運営しているかのような事業の仕組みが、多くの契約エンジニアから信頼を得ている、と齋藤氏。「当社には822名の個人株主がいるが、その全てが自社で契約するフリーランスのITエンジニア。エンジニアの代表を取締役に選出するほか、現場のエンジニアの声を的確に経営に反映している。こうしたところが一般の人材サービスとは大きく異なるポイントだ」(齋藤氏)。
なおPE-BANK事業だが、これはフリーランスのエンジニアを単に登録するわけではなく、PE-BANK独自の厳格な基準を満たしたエンジニアのみがプロ契約を結べるとのこと。エンジニアの品質を保証することでブランド化を図っている。契約エンジニア数についてだが、2014年9月末の2026名から、2015年3月末には3447名へと前期比120%の増加となったという。
今後は慢性的なITエンジニア不足があるほか、マイナンバー制度導入による需要の拡大、派遣法の改正により特定派遣ができなくなることからITエンジニアの働く環境も変化しつつあり、同社が貢献できるフィールドが拡大している、と齋藤氏。3年後には契約プロエンジニア数6000名、取扱高(共同受注金額)300億円を目指すとのことだ。
■マイナンバー制度の導入とITエンジニアの関係
発表会に登壇した一般社団法人の日本個人情報管理協会専務理事である内山和久氏は、マイナンバー制度の概要について触れ、これは個人や企業活動の基盤となる、社会保障・税仕組みに利用されるスーパー・インデックスとしての性格を持つと指摘。ひとたびこの番号が漏洩したり、悪意を持って扱われると国民一人ひとりの権利や利益を損なう可能性がある。こうした個人情報の保護が重要となってくる。
マイナンバーは法律で決められた分野でしか使ってはいけないことになっているので、提供することもできなければ、提供を求めてもいけない。利用されるのも社会保障や税、災害対策のみに限られている。たとえばマイナンバーで社員を管理することはできないようになっている。
翻って個人事業主としてのITエンジニアを見た場合、ITエンジニアは「個人番号関係事務実施者」となる。これは自らがマイナンバー制度を理解し、事業主として適切な対応を取る必要があるほか、アルバイトやアシスタントなどへの給与支払いに伴う源泉徴収、コンプライアンスの遵守など、様々な取り組みが必要になってくる。「経営者としてコンプライアンスを重視し、問題があった場合は事業の継続が難しくなってしまう。そういった意味でもマイナンバー、個人情報の保護に精通し、自らの事業主としての価値を高める必要がある」(内山氏)。またITエンジニアとして仕事をする場合でも、マイナンバーの正しい取り扱い方に精通していることが求められる。
最後に内山氏は「ITエンジニアの方々はマイナンバーに精通し、人的・物理的・組織的な安全の取り組みをしっかりとやっていく必要がある。日本個人情報管理協会としても首都圏コンピュータ技術者とタイアップしてサポートをする。上級個人情報管理士の取得など、続けて取り組んでいきたい」と語った。
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