サッポロホールディングスでスタートアップ共創型ビジネスコンテストを開催
ITライフハック / 2019年7月30日 10時0分
サッポロホールディングスは、サムライインキュベートと共同で、サッポログループ内の公募による選抜メンバーと、スタートアップ企業が共創して新たな事業創出を目指すオープンイノベーションプログラムを実施。最後に勝ち残った5チームによる最終審査会を2019年7月18日に行った。
最終審査会まで残ったのは以下の5チームだ。
1、サッポロン
事業タイトル:ふたりのみ~ゆったり過ごすお家の居酒屋さんセット~
スタートアップ企業:meuron
2、OJH(日本のおじ様を食生活からHAPPYに)
事業タイトル:AIを活用した、パーソナルな健康食生活マネジメント
スタートアップ企業:ライフログテクノロジー
3、聖域なきキッチン改革
事業タイトル:冷蔵庫の中身から作れるレシピと購入すべき食材をチャット提案!「クック・パシャッド」
スタートアップ企業:オトナル
4、five★flow
事業タイトル:みんグル~みんなのグルメ~
スタートアップ企業:イーフロー
5、MAKE FUTURE
事業タイトル:全食品メーカーの食品ロスをなくし循環させる新システム
スタートアップ企業:REARS
この最終審査会を勝ち残ったチームには、事業化への許可が与えられ、本年9月から事業化がスタートする。各チームのプレゼンテーションの結果、最終的に事業化されたのは2組となった。本来は1組なのだが、審査員での議論が白熱したため2組に。選ばれたのは「サッポロン」と「聖域なきキッチン改革」の2チームだ。
■夫婦の会話を弾ませて明るい家庭を築くための晩酌を
サッポロンの「ふたりのみ~ゆったり過ごすお家の居酒屋さんセット~」(以下、ふたりのみ)が目指したものは、晩酌によって夫婦の会話を弾ませること。チームによる調べでは、現代夫婦の1日の会話時間は約20分。その会話をするために取る行動としての1位は晩酌だった。週1回以上晩酌をする夫婦は60%にのぼるのだという。
そんな晩酌夫婦だが、奥さんの悩みは子供がいて旦那と外に飲みに行けなくなったこと。しかし家で飲むにしても、コンビニやスーパーで売っているお酒とおつまみではいつも同じで飽きてしまう。また会話が増えないため、テレビや映画を見ながらになりがちだ。「楽しく飲んで会話したい」。これが今の夫婦が求めていることだ。
そこでサッポロンは、晩酌夫婦の会話を最大化する、クラフトビール飲み比べサービスを展開することを目標とした。2人でシェアできる複数のクラフトビールを定期配送し、フードペアリングを発見できるこだわりおつまみをセットとして届ける。また居酒屋体験としては、チャットボットが接客担当となり、晩酌をサポートする。チャットボットは感想を聞いて好みのビールをレコメンドしたり、ビールごとにおいしい飲み方を紹介したり、相性がよいおつまみレシピを紹介する。サービスでは定期購入を基本として、6種類6本のクラフトビールと、3種類のおつまみとおつまみレシピを提供する。
実際にプレサービスをした結果としては、どれから飲むのか冷蔵庫の前で会議をしたり、一緒に飲み比べをしたり、知っているビールについての会話が弾むこととなり、飲み比べセットは夫婦の晩酌に最適であることがわかった。またチャットボットについても、会話のきっかけとなったという結果が出たそうだ。
そしてこの市場規模だが、チームの算出では顧客世帯が3000万世帯あり、市場規模は1兆円という結果に。インスタを活用したビジネス展開で、4年後には売上高68億円を目指している。
■冷蔵庫の中身を判断して働くママを応援!
チーム「聖域なきキッチン改革」が目指したのは、冷蔵庫内の中身を、写真を撮るだけで何があるのか判別するというサービスだ。チームの調べでは、働くママが一番大変な家事としては料理をあげた人が半数以上に。また散らかる、子供の栄養を任せられないなど、夫には料理を任せたくないという人も半数以上という結果となった。そして料理の何が面倒かというと、それは献立決めと、それに伴う買い物だ。夕飯の献立決めには1日20分を費やすという。
そこでチームが考えたのは、出かける前に冷蔵庫の中身を写真で送付すると、冷蔵庫の中身を考慮した数日分のレシピと買い物提案が届くというものだ。この事業の優位性ポイントは、写真を送るだけで今ある食材で作れるレシピと、不足した栄養を補える食材が提案されるということ。また単品をいちいち撮影して送るのではなく、冷蔵庫内の中にある複数の素材を判別して取り入れられるのもほかにないサービスだ。
中身の判別方法だが、当初は人力で行うのだとか。しかし同時にディープラーニングを活用した画像認識で食材判定をする取り組みも始められる。最低限の技術検証は実施済みで、1万件以上のデータがそろえば、ほぼ自動的に判別できるようになるのだそうだ。
ビジネスの展開だが、利用層からの課金収入のほか、ビッグデータとして、冷蔵庫データを販売したり、アフィリエイト課金という展開も考えているとのこと。特に家庭内の食材管理、消費に関するデータはまだ誰も持っていないもの。このデータは食品のBtoC市場にとって、価値のある重要なデータとなる、とチームは語る。
■総評
審査会の最後にサッポロホールディングスの尾賀真城代表取締役社長は、審査のポイントとして「これまでとは違った、共創チームのシナジーとお客様接点を活用したビジネスの発展性が重要なポイントとなった」と語る。事業化に採用されたとはいえ、まだブラッシュアップが必要だ、とも。またそれに漏れてしまった案についても、個別に判断して事業化を進めることにもなるという。「これまでの努力に敬意を表するとともに、新たなステージなのでしっかりと取り組んでほしい」と語った。
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