今後の事業戦略は? グッドデザイン賞受賞で来日中の本家Acer CMO 直撃レポート
ITライフハック / 2014年11月18日 17時0分
Acer(エイサー)といえば、国内外を問わずに有名なパソコンメーカーだ。その歴史は古く、会社設立は1976年。およそ40年弱の歴史を持つ。IT関連企業でも、かなりの老舗と言えるだろう。また日本法人に関しても1988年設立と日本国内のIT関連企業としても、かなりの古株となる。マイクロソフトの日本法人設立が1986年なので、日本のPC関連の歴史をずっと見守ってきた企業の1つであると言える。
ITライフハックでも『日本エイサーよりOffice Personal Premium搭載の15.6インチノート「Aspire Eシリーズ」』「日本エイサーより13.3インチで薄型・軽量なオーソドックスなノートPCが登場」「最大の売れ筋となるか? 日本エイサーのChromebook「Acer Chromebook C720」【デジ通】」という記事で紹介しているように日本国内でも積極的な展開を続けて来ている。
そんな同社であるが先日行われた「グッドデザインエキシビション2014」において、同社の製品がグッドデザイン賞を受賞。受賞した新製品は、スマートフォン「Liquid Jade(国内販売未定)」、ノートPC「Aspire R 13」「Aspire V Nitro Series」の3点だ。これを受け、本家Acer CMOのMaarten Schellekens(マーティン・シェルケンス)氏が授賞のために来日。タイミングがドンピシャで幸運にも、同氏に直撃して話しを聞くことができた。
■グッドデザイン賞授賞の喜びと今後の戦略は?
編集部:今回、日本で受賞した「グッドデザイン受賞製品」について、率直な感想と、日本での今後のマーケティング戦略をお聞かせください。
Maarten Schellekens氏:グッドデザイン賞を受賞したことは、非常に光栄に思っております。今回、来日したのも同賞を受賞したことがひとつの理由です。もうひとつの理由は、エキシビションがございますので、そこで様々なデザインの展示を見て、自社製品への刺激を受けたいと思いました。
もちろん、私どもがこの賞を受賞して、それがどれだけ光栄で嬉しく思っているのか、皆様にわかっていただきたいと思っております。
スマートフォン「Liquid Jade」
弊社のスマートフォン「Liquid Jade」のデザインを日本の皆様にも体感していただきたいと思います。ぜひ、お手持ちの端末と持ち比べていただきたいですね。様々な規格適合の問題で日本向け製品の紹介はまだできていませんが、手に持っていただくと、そのスタイリッシュさが理解してもらえると思います。
端末の端のほうが中央部よりも薄くなっておりますので、非常に手にピッタリとフィットします。また多くの人がジーンズのポケットに入れるような使い方をされるわけですが、角が尖っていないので、服を傷つけることはないですし、もちろん曲がってしまうようなこともなく強度もあります。
残念ながら、まだ日本向けのモデルは登場していませんが、これを見ていただければ、近年、私どもが、どれだけデザインの優れたものを生み出しているのかが、日本の皆様にご理解いただけるものと思っております。非常にシャープで、スッキリした画面でしょ?
編集部:日本では、格安SIM、MVNOによる激安スマホがブームとなっています。「Liquid Jade」の日本市場への投入はありませんか?
Maarten Schellekens氏:よくご存じだと思いますが、日本の市場というのは、日本独自のルールや、適合すべき技術というものが多く存在した非常に独自性のある市場です。規制もそうですけど、技術的なこと以外にも非常に独特な市場だと思いますので、日本の皆様に何かご紹介するときには、私どもは日本の市場、皆様のニーズに一番あったものを提供しようと思っております。
たとえば、LED系のデバイス、LTEや4K画質なんかも、日本で非常に普及しておりますけれども、そういった日本の環境に、どれが一番当てはまるのか、どれがニーズを満たせるのかを見極めて、投入をして行こうと検討中です。
今、日本で、どのスマートフォンが、日本のニーズにもっとも合っているのか、というのを慎重に検討し、ビジネス的にペイできるのか考慮しつつ進めております。そして現状お伝えできることは「日本市場にスマートフォンを導入する計画はある」とだけでよろしいでしょうか。
ノートPC「Aspire R 13」「Aspire V Nitro Series」
弊社でグッドデザイン賞を受けましたのは、このスマートフォンだけではなく。あと2つ製品があります。こちらのほうが身近だと思いますので、ぜひ紹介させてください。
「Aspire R 13」(国内ではAspire R 7)は世界的にもユニークな独特なノートPCです。他社が似たような製品を出しておりますが、まったく同じじゃないところがミソです。通常のラップトップのようにも使えますし、タブレットPCとしても使えます。このように角度を付けて前のほうに引き出して、指で何か画面に描くような使い方もできるし、キーボードで文字を入力することも当然可能です。
また何か描きたいと思ったときに、こういう風に指で円や線を描いていただいてもかまいません。あるいは、タブレットとして、使うことも可能です。液晶ディスプレイを回転させると、画面も同じように回転します。ふたりで一緒に作業をしたり、画面を見たり、するときといったように、様々なスタイルで使えるのです、すごいでしょ?
このように6モードで作業ができます。現在市場に出回っている2 in 1デバイスの中で、もっとも多様性のあるデバイスだと自負しています。他社もフルフレームで、このような製品を出していますが、ここにフレームの形が異なるので、このようなスタイルで使うことができません。
私たちはヒンジに革新的な技術を実現したので、このようなスタイルで使うことができるのです。ガタガタすることもないので、非常に安定性に優れています。非常にカッコイイデザインですよね。無線も飛びますし、非常にイノベーティブで革新性があふれるデザインを体感してください。ここに少し曲がりを付けているので、非常に収まりがよくなっているのもポイントでしょう。こうした部分が受賞の理由のひとつだと自負しております。
飛行機などに乗っていると、あまり自分で使えるスペースがないかと思いますが、このようなかたちで映画を楽しむことも可能です。本当にあまり角度を付けずにしっかりと立てることができるので、狭いスペースでも映像を楽しんでいただくことができます。もっともっと小さなテーブル上でも、安定したかたちで立ちます。これがノートPC「Aspire R 13」の優位性です。
ノートPC「Chromebook」
編集部:今年の7月、日本でもGoogle Chrome OSを搭載した11.6型Chromebookを、法人および教育機関に対して供給開始することを発表しました。コンシューマ向けの提供はありませんか?
Maarten Schellekens氏:
日本のコンシューマの皆様にも、もう間もなくご提供したいと考えております(すでに2014年11月11日より提供を開始)。ご存じかどうか知りませんが、全世界におきまして、Chromebookの市場では、私どもはシェアナンバー1です。米国におきましては、非常に大きな成功を収めているのです。
このChromebookも、今後、いろいろとラインナップが充実します。バッテ
リーの持ちも非常によくなります。エキスパートな皆様にも、Acerの出すChromebookは、非常に素晴らしいと高い評価を受けているので、やはりそういった意見を含めて、このエリアで私ども大きな成功を収めていて、日本でも収めることができたらと思っております。私どもにとりまして、日本市場は非常に重要な市場です。今年の世界市場の予測が200万台。そして、来年度が400万台ということで、すぐにでも2倍の台数になるであろうと予測されています。
■日本での広告展開とユーザーへのメッセージ
編集部:米国では昨年、インターネット広告がテレビ放送広告を初めて超えました。マーケティング・コミュニケーションについても変わってくるかと思います。グローバルに関するマーケティング・コミュニケーションについてのお考えを、お聞かせいただけますか?
Maarten Schellekens氏:これは常に自分自身に問いかけている質問でもありますが、将来、ほとんどのものがデジタル化していくであろうと、私どもは確信しています。現状を鑑みますと、米国のように非常にデジタル化先進国といわれるところがある反面、グローバルでは国によってバラつきがあります。
私ども「人々が物を買うときに、どのような行動をとるのか」というのを調査したところ、最初のブランドとか、商品とか、そういう接点にデジタルというものが介在していることがわかりました。わざわざお店に足を運んで、そこでひとつひとつ商品を見ていくというよりも、まずはインターネットなどでブランドをさがしたり、あるいは欲しいものをさがしたりして、そして最終的にある程度の候補を絞り込んでお店に行くという行動が見てとれました。
なので、ますます人々はデジタルを活用するということに、違和感がなくなってくると思いますし、今後はやはりデジタルというところには、自分が欲しいものが見つかる、何か買うときに、デジタル(インターネット)でさがしてみようと思う行為が浸透していくのではないかと思っています。そういった将来に対して、私たちは、自分たちがデジタル化というものに対応できるように、今後も準備を整えていかなければいけないと思います。
人々がデジタルで、Acerを、あるいは欲しい商品をさがしていらっしゃるときに、私たちがデジタルの場でも、そういった情報を提供できるように、準備を整えてまいります。ここ近年、私ども、非常にデジタルへの能力というものを非常に増強してきております。
あと、もう一点、追加で申し上げますと、日本人は物理的に自分が買いたい物を「見たい」「触れたい」という欲求があると認識しております。まずデジタルで商品をさがす、デジタルでの商品へのアクセスと、実際にお店で物を手にとって見られるところのバランスをとって考えていきたいと思っております。
編集部:最後に、日本のユーザーに向けて、コメントを頂戴できますか?
Maarten Schellekens氏:私が日本の皆様に向けてお話しさせていただきたいことは、現状は日本市場におけるAcerの市場占有率、マーケットシェアというものは、まだまだ小さな数字にとどまっておりますけれども、ぜひとも、日本の皆様にAcerが皆様にご提供し得る様々な製品をご覧いただきたいと思っております。
実際、本当に見ていただくと、Acer製品の素晴らしさというものを、すぐに感じていただくこと、理解していただくことができると思っております。
台湾などでは、エコシステムの90%がクリエイティブのものであると言えます。また非常に高い変換率、コンバージョンレートを誇っております。やはり、本当にお客様が期待する以上の素晴らしい価値を、Acerの製品を使っていただける人にご提供できると確信しています。
もちろん、日本の皆様が何か買おうと思ったときの、買い物リストの一番上に、Acerの商品が来るばかりではないと思いますが、ぜひとも「何か買おうかな?」とお店に足を運ばれたときには、Acerの商品を手にとって、実際にご覧いただければと思っております。
■日本エイサー
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