22軒を一斉開業 欧州最大ホテルチェーンが日本を“狙い撃ち”した理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月14日 12時41分
グランドメルキュール八ヶ岳リゾート&スパ
欧州最大のホテルチェーン仏アコーは4月、日本初上陸の「グランドメルキュール」12軒と、東京・銀座などで展開していた「メルキュール」10軒の計22軒のホテルを一斉開業させた。アフターコロナのインバウンド需要の回復を見据え、日本での存在感を拡大させるための展開だ。
これだけの数を一気に開業させた理由は何か? アコージャパンのディーン・ダニエルズ社長に狙いを聞いた。(武田信晃、アイティメディア今野大一)
●日本を“狙い撃ち”した理由
まず、世界のホテルの客室数ランキングを見てみたい。1966年創刊のホテル業界誌『HOTELS』21年7、8月号によると、1位は米マリオット・インターナショナルで142万3044室、2位は中国・錦江国際集団の113万2911室、3位が米ヒルトンで101万9287室となっている。
アコーは75万3000室と6位につけ、欧州では最大のホテルチェーンだ。傘下ブランドにメルキュールの他、ラッフルズ、ソフィテル、ノボテルなどを持っている。
日本では05年の段階で、322室を展開するにとどまっていた。翌06年に観光立国推進基本法が成立して以降、15年に938室、20年に3581室、23年7月には4498室まで急速に拡大させている。
今回、日本で力を入れる「グランドメルキュール」は世界12カ国・地域で約60拠点を有する。「Proudly local ~その地に、誇りを~」をコンセプトに、その土地の食や文化に深く触れられるアップスケールのホテルだ。
一方の「メルキュール」は、60カ国・地域に900以上の拠点がある。「Local inspired hotel ~ローカルインスピレーションから生み出されるホテル~」をテーマに、土地の魅力を食・デザインを通じて感じ取ってもらう思いを込めたミッドスケールブランドだ。つまりグランドメルキュールの方がメルキュールよりもハイブランドとなる。
グランドメルキュールは奈良、北海道などに12軒、メルキュールは京都、長野などに10軒を開業させた。
●アコーと大和リゾートの思惑が一致
新型コロナの悪影響を最も受けた業界の一つがホテル業界だ。
今回の一斉開業では、拡大路線を続け日本に狙いを定めたアコーが、リゾートホテルを展開してきた大和リゾートの有する既存ホテルをリブランドすることによって、アコーブランドを展開する。
大和リゾートは、もともと大和ハウス工業の傘下だった。大和ハウス工業はビジネスホテルに集中するため、23年7月19日付で保有する大和リゾートの全株式を、ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ(JHRA)がアセットマネージャーを務める恵比寿リゾートに譲渡した。
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