なぜ北海道「人口5000人の町」に23億円の企業版ふるさと納税が集まったのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月13日 13時53分
北海道・大樹町の黒川豊町長
北海道十勝地方にある大樹町は東と南が太平洋に面した立地を生かし、40年前からJAXAに通じる国の研究機関と連携しながら、国内有数の宇宙開発の拠点であり続けてきた。
そんな大樹町が「宇宙版シリコンバレー」構想を打ち出している。2008年の「宇宙基本法」施行以降、民間の宇宙開発が可能になった。これを受けて大樹町は国の実験誘致にとどまらず、民間の宇宙開発企業を誘致している。
20年からは「北海道スペースポート(HOSPO)」プロジェクトを打ち出し、企業版ふるさと納税を開始。22年度は全国の自治体で2位となる14億685万円を集めた。3年度分の寄付額はのべ23億4855万円に上る。
なぜ、人口約5000人の大樹町にここまでの寄付金が集まったのか。宇宙産業の誘致で町はどのように生まれ変わったのか。大樹町の黒川豊町長に聞いた。(河嶌太郎、アイティメディア今野大一)
●税収は数千万円の“爆増” 企業版ふるさと納税も全国2位
――企業誘致をして町に企業が移転してくると、若い人が住む場所を整備する必要も出てくると思います。このあたりの現状はいかがでしょうか。
大樹町にはインターステラをはじめ、宇宙関連の民間企業が6社拠点を置いています。この中で本社を大樹町に置いているのがインターステラとSPACE COTAN(スペースコタン)の2社ですが、インターステラは町外から移住する方が多いため、企業として社宅を保有しています。この2社以外はサテライトオフィスの設置にとどまり、従業員を常駐させているわけではありません。必要に応じて町内のビジネスホテルを利用している状況です。
――誘致を続けた結果、税収面などの影響はいかがでしょうか。
まず源泉徴収税が上がりましたし、住民税、固定資産税、そして法人税が上がりました。税収は合計数千万単位で上がっています。大樹町は人口5350人しかいない町ですから、この税収額の上昇は非常に大きいものになっています。
税収だけでなく、サテライトオフィスを構えている企業などのホテル利用も増え、宿泊や食事が増えました。若い人が町に入ってきたことで、小売店や飲食店も新たに入ってきたことも大きいですね。
ここ10年以内では、北海道の大手ドラッグストアチェーン「サツドラ」が進出してきました。これはもともとの町民の生活においても非常に大きな変化でしたね。コンビニはセイコーマートとセブン-イレブンしかなかったのですが、新たにローソンが進出してきました。スーパーではコープさっぽろも新たにできました。
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