物件情報の作成、AIがサポート アットホームが挑む不動産DXの現在地
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月22日 8時30分
不適切画像の検知では、物件の画像に含まれる人の顔や車のナンバープレートなど、プライバシーに関わる情報をAIが自動で検知し、モザイク処理を施します。これにより、物件情報の公開に際してのセキュリティーとプライバシー保護を確保できます。
間取り図特徴抽出は、AIが間取り図画像から間取りの構成、リビング・居室・キッチン・水回り・収納などの各領域、配置関係、つながりなどを解析し、間取りの特徴として判別することが可能です。本AI技術を活用することで、物件情報の登録漏れを補填(ほてん)できます。また、間取りの特徴を可視化することで物件アピールの幅を広げられます。
これらの技術は、物件情報の登録や更新プロセスを効率化し、消費者への情報提供の質向上に期待できます。
●3.生成AIとAIの違いは?
また昨今では「ChatGPT」など生成AIの利用が注目されています。不動産業務における生成AIの可能性について触れる前に、従来のAIと生成AIの違いについて説明します。
従来のAIは、データを基に予測や自動化の役割を担い、AIが創り出す結果をもとに人間が具体策を考えることが一般的でした。一方、生成AIは、新しいコンテンツを自ら生成する能力を持ちます。生成AIに注目する理由の一つは、考える行為がAIで実現できることです。この革新的な技術は、ビジネスにおいて業務効率化やコスト削減だけでなく、売り上げ向上にも寄与します。
不動産業界において、生成AIに関する活用はまだ始まったばかりです。アットホームの調査(※3)によると、生成AIを利用している不動産会社は約1割にとどまりますが、その活用範囲は広がると予想されます。今後は、AIが物件の魅力と消費者の潜在的なニーズを引き出し、よりパーソナライズされた物件の提案を可能にすることで、住まい探しの体験を一新すると期待されています。
※3 地場の不動産仲介業における景況感調査(2023年 7~9 月期)
●まとめ
不動産業界におけるDX推進のカギを握るのは、生成AIの活用による業務効率化、コスト削減、消費者体験の向上です。従来のAIとは一線を画する生成AIの能力を生かし、物件情報の自動生成や不適切画像の検出など、多岐にわたる業務プロセスの革新が進んでいます。
これらの技術進化は、不動産業界のDXを加速させ、消費者にとってもメリットの大きい住まい探しの新たな形を提供することでしょう。AIの活用は、不動産業界においてまだまだ発展途上ですが、その潜在能力は計り知れないものがあります。今後も技術の進化とともに、不動産業界の変革が期待されます。
この連載が不動産業界で働かれている読者の方をはじめ、テクノロジーに関心のあるすべての読者の皆さまにとってDX推進の一助となれば幸いです。
著者プロフィール:大武 義隆(おおたけ・よしたか)
アットホームラボ株式会社 代表取締役社長
アットホームに入社後、営業職・企画職などに従事。
2019年5月にアットホームのAI開発・データ分析部門より独立発足したアットホームラボにて、テクノロジー部門を統括し、不動産分野の課題解決に適したさまざまなAIモデルの企画を担当。23年4月より代表取締役社長に就任。
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