社員がリスキリングしてくれない 体系化を促進する“コンピテンシーマップ”の必要性
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月10日 8時0分
ここ半年で、企業が人材に求めるスキルが大きく移り変わったような印象を受けます。その背景としてはやはり、「ChatGPT」を始めとした生成AIの台頭が一つあるのではないでしょうか。こうした技術の発展に備えるための一つの方法として注目され始めたのが「リスキリング」です。
リスキリングとは、「あらゆる人が持つあらゆる可能性を切り拓いていくために、必要なスキルをあらためて獲得する/させること」です。前述のように現代のビジネス環境における個人と組織の関係性の変化が、個人が自己のスキルを継続的に磨き、組織が個人の成長を支援する環境づくり、つまり「リスキリング」の重要性を高めているのです。
そんな注目されているリスキリングですが、実際にリスキリングを進めようとするとさまざまな課題に直面する企業が多いのではないでしょうか。そもそも社員が自発的に学んでくれるようなモチベーションを上げることも難しいですし、逆にリスキリングを進んで行ってくれた社員にインセンティブを与えるなどの企業制度を設けるのもかなりハードルがあると考えています。
加えて、社内の役割やポジションに必要なスキルを可視化させることにつまずいてしまうケースも多いでしょう。仮に導入されているeラーニングサービスなどを活用しようと思い立ったとしても、社員が自身のキャリアイメージに合致した学習目標を設定したり、企業が効果的な人材育成計画を策定したりすることも難しいのではないか、とも思います。こうした課題は、多様な職種や役割が存在する大企業で、より顕著に見られています。
人事・経営者目線としても、一旦eラーニングの受け放題サービスを導入してみたものの、利用率が低く効果が限定的になってしまい、継続するかどうかの判断に迷ってしまうといった話もよく聞きます。小手先で改善をしようとしても、多彩・豊富なコンテンツを用意しているにもかかわらず利用率が低い、低い利用率を上げるためにコンテンツを追加する、追加したにもかかわらず利用率はやはり低いまま、といった悪循環に陥ってしまうことも多々あります。
●企業の人材戦略を明確にできる“コンピテンシーマップ”とは
こうした背景から、リスキリングを成功させるにはスキル習得と、社内の役割・ポジションとの関連性を明確にし、社員がその意義を実感できるための「体系化」が不可欠だと考えています。
これまで多くの企業の育成プログラムを構築・提供してきた当社が推奨している体系化の方法が“コンピテンシーマップ”です。コンピテンシーとは、「社員が職務や役職において優秀な成果を発揮する行動特性」という概念で、その概念を社員の職務や役職において優秀な成果を発揮できる階層別・領域別に整理・体系化し「見える化」したものがコンピテンシーマップです。
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