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なぜ最近の新幹線駅は「巨大駐車場併設」が増えているのか 各地で見えてきた実情と課題

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月2日 11時30分

 また、この交通広場に併設して23年に「道の駅・越前たけふ」が先行開業。新幹線駅は待合室と自動販売機くらいしかない簡素な構造でもあり、利用者は道の駅で時間をつぶし、手土産を購入して新幹線・高速バスに乗車できる。これらの整備はJR西日本に頼まれたわけでなく、「駅の利用促進をJR任せにしない」という地元の意思に沿って行われたものだ。

 しかしこの駅は、開業早々に問題が発生している。肝心の駐車場がすぐに満車となってしまい、利用者から「空きスペースを探している間に、新幹線に乗り遅れた」といった苦情が相次いでいるそうだ。なお、この駐車場はゲートなどがない(俗にいう「青空駐車場」)ため、利用者でなくてもクルマを停めることができる。

 同じ北陸新幹線でも、15年に新幹線駅として開業した新高岡駅(富山県高岡市)では、越前市と同様に「駐車場が満杯」というトラブルが相次いだ。その結果開業1年後に、無料開放していた駐車場を有料化し、「7日間まで駐車無料」(改札内の機械に駐車券を通して認証)としている高岡中央駐車場(751台)に誘導した。

 この駅も高岡駅(あいの風とやま鉄道)や市街地から2キロほど離れ、接続するJR城端線の本数は少なく、クルマユーザーの利便性向上のために6カ所・807台の駐車場が整備された。駐車場不足による有料化後も利用者はむしろ増加し、駅の乗降客も微増、4000人を突破した。

 予約専用駐車場も用意しているが、その利用客の7割が近隣の能越自動車道から能登半島へ向かう観光客であったという。駅前駐車場・取次道路を含めて104億円(半額を市が負担)という巨額の投資は、新たな能登半島への玄関口として機能しており、一定の効果があったといえるだろう。

 しかし、この財政負担は高岡市の重荷となり、程なく40億円もの歳出超過(財源不足)に苦しむようになる。クルマユーザーのための駐車場・アクセス道路の整備は一定の効果があるものの、費用に見合った効果が明確に出るわけでもなく、ともすると“ムダ遣い”との批判を浴びやすいという問題を抱えている。

●無料駐車場が移住者を呼び込んだ事例も

 ここからは、全国の「クルマユーザー対応・新幹線駅」の様子を見てみよう。

 1990年に開業した東北新幹線「くりこま高原駅」(宮城県栗原市)は、他地域に先駆けて500台のマイカー用の駐車場を整備。「パークアンドライド」(自宅から最寄り駅まではマイカーで移動し、そこから公共交通機関で目的地に移動すること)で一定の成功を収めた。

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