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なぜ「案内所+バス」にベッドを置いたの? 東海バスが宿泊施設を始めた背景

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月23日 6時15分

 予約を受け付けたのは、2023年11月10日の午後12時から。「まだかまだか」と待ちわびていた人もいたようで、受け付けがスタートして数分後に予約が入った。オープンから6カ月近くになるが、土日を中心に幅広い層が利用しているという。「観光客またはバスファン」どちらが多いのか尋ねたところ、いまのところ「バスファン」の利用が目立っているようだ。

 それにしても、東海バスはなぜ“畑違い”とも言える事業を始めたのか。「宇久須案内所」はかつて、鉄道との直通乗車券を販売していたことから、地元住民からは「宇久須駅」と呼ばれていた。1950年に生まれた建物をこのまま壊すのはもったいないと考え、同社は3つの案を絞り出した。

 1つは、物件を貸し出すこと。建物を壊して、そこに新しい物件を建てるのはどうかというアイデアだ。賃貸での収益を得ようとしたが、広さに問題があった。冒頭でも紹介したように、延べ床面積は71.9平方メートルしかないので、大きな物件を建てるのは難しく、実現を断念した。

 2つめは、カフェを始めること。同社は数年前にレストラン事業を始めているので、飲食業の知見はある。しかし、商圏の人口は少ないので、利用者はそれほど多くはないかもしれない。採算が合わないのではないかとソロバンをはじき、この案も却下。

 そして、3つめが宿泊施設である。地元の人が利用するカフェではなく、外から観光客を呼び込むことはできないか。地域活性化を狙って、いまの案に決定した。

●ネーミングは天から降ってきた

 バスの案内所を宿泊施設に――。耳慣れない言葉だが、これまで同じような事例はあるのか。「事業を始める前に調べたところ、かつて山梨県のキャンプ場で、とある会社が古くなったバスを持ち込んで、その中で泊まれるようにしていました。バス会社が案内所とバスを使って宿泊施設を運営しているケースはなかったですね」(土屋さん)

 ちなみに、施設名の「ばすてい」は、コンセプトの“バスと過ごす(ステイ)”から、「バス」と「ステイ」を合わせて「ばすてい(バス停)」とした。社内で何度も議論して決めたのかと思いきや、生みの親は別の部署で働く女性だそうだ。

 「ネーミングは天から降ってきたようで(笑)。社内からこれ以上の案が出てこなかった、いや、出てきそうにもなかったので『ばすてい』という施設名にしました」(土屋さん)

(土肥義則)

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