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生成AIは2024年から「実装フェーズ」に どのような領域で活用進む?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月27日 8時0分

 例えば、携帯キャリア業界はどうでしょうか。従業員は新作のスマートフォンに関する質問から端末の操作まで幅広い問い合わせに対応したり、契約締結時には丁寧に説明したりする必要があります。契約に関する知識やスマートフォンの新機種の知識など、従業員に求められる仕事や学習範囲は多岐にわたります。

 家電領域も同様です。多数のメーカーから新しく発売される家電の商品理解を常にキャッチアップすることが求められる仕事です。このような領域で生成AIの活用が進んでいきます。つまり、生成AIに商品や契約に関する説明を学習させることで、それまで従業員が担っていた問い合わせ業務の一部を、生成AIが代替できるようになります。

 ここで注意が必要なことは、生成AIが全てを代替する(=AIが仕事を奪う)わけではないということです。前回の記事でも説明したとおり、生成AIの進化によって人間の仕事が代替されていくように見えるかもしれませんが、未来はAIと人間がタッグを組んで仕事を進めていくことが標準になるでしょう。

 携帯キャリアや家電の領域でいえば、生成AIが商品説明や契約に関する疑問に回答できたとしても、購入の後押しをするのはやはり人の接客になるはずです。生成AIが問い合わせ業務を代替することで捻出された時間で、より多くのお客さまに丁寧な接客や購入後の使い方、他の商品やサービスとの組み合わせに関するアドバイスをできるようになるでしょう。今後、生成AIの実用化が進むにつれて、人間には消費者心理を理解して、適切なコミュニケーションを取ることがより求められていくと考えます。

 特定の企業や業界で生成AIの活用が広がる一方で、「生成AIが盛り上がっているのは知っているけれども、仕事の場では使ったことがない。使う予定もない」という方がまだ多いようです。エン・ジャパンが35歳以上を対象にした調査によると、生成AIを業務に活用している人は全体の18%でした。使用していない理由として、「必要性を感じない」「使い方が分からない」「情報が正確か不安」が上位に入っており、生成AIの浸透にはまだ時間がかかりそうではあります。

 しかし、さまざまなサービスに生成AIが実装されることで、業務に生成AIを使っていないビジネスパーソンでもその恩恵を享受する機会が増えることが予測されます。例えば、LINEのオープンチャットでは、ボタン一つでこれまでのやり取りを要約できます。他にも、チャット上でオペレーターと話していると思っていたが実は生成AIが回答していた、などのシーンが挙げられます。生成AIがサービスに実装されることで、知らず知らずのうちに生成AIがより身近になっていくでしょう。

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