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カビ騒動で「株価30%超下落」から半年……ベースフードはなぜ今“急成長”しているのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月29日 7時55分

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ベースフードはなぜ“急成長”しているのか

 今からおよそ半年ほど前、ベースフードが大規模な自主回収騒動を引き起こしたことを覚えているだろうか。

 同社の主力商品である完全栄養食、「BASE BREAD」にカビが発生しているというSNS上の口コミが問題の発端だった。2023年10月24日には問題のロットであった76万食を回収する事態となった。

 当時、企業側の対応が後手に回ったこともあり、消費者の信頼を大きく損なう形となった。その結果、同社の2024年度の業績予想は今回の損失も含めて20億円ほど下方修正することになってしまった。株価は当時、わずか1カ月で30%以上暴落する展開となっていたのだ。

 件の騒動から半年、同社の業績は実際にはどのように推移したのだろうか。

●ベースフードの業績は好調に推移

 4月15日に発表されたベースフードの2024年2月期決算によれば、同社の売上高は148億7000万円と、前年の98億5000万円を49.7%も上回る成長ぶりとなった。

 販路としては自社ECがトップの90億8000万円となり、次いで小売店やコンビニなどへの卸売が45億9000万円となっている。最近ではコンビニや小売店でもベースフードの製品を見かける機会は増えてきた。

 完全栄養食とは、人間が必要とする栄養素をバランス良く含んだ食品で、1食分で必要な栄養素を効率的に摂取できる食品をいう。完全栄養食は、大手食品メーカーも追随する動きを見せており、日清食品の「完全メシ」シリーズをはじめ、特に忙しい現代人のライフスタイルに合致した新たな食事スタイルといってよいだろう。

 大手食品メーカーがコンビニやスーパーなどで完全栄養食の卸売を進める中、ベースフードは売り上げの6割程度が自社のECサイト経由で発生したものである点は注目すべきだろう。D2C体制を整えていることで中間コストを抑えることに成功しており、街では見かけない部分でひそかにベースフードは広がりを見せているといえる。

 また、同社の粗利率は、自主回収による損失を加味した上でも49.7%と非常に高く、「一食で必要な栄養素が摂取できる」という付加価値が価格決定において優位に働いていると考えられる。

 営業利益は9億円の赤字と、前年並みで推移したが、2025年2月期には1億6000万円の黒字転換を予想しており、広告宣伝費などの先行投資を回収するフェーズに入っていくと思われる。同社の成長を支える自社ECのサブスクが解約の流れにまでは至っていないことが大きかった。業績に対するネガティブな効果は限定的だったのだ。

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