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「一蘭」幹部に聞く カップ麺「一蘭 とんこつ」の開発で譲らなかったこと

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月10日 15時13分

「一蘭」幹部に聞く カップ麺「一蘭 とんこつ」の開発で譲らなかったこと

一蘭ホールディングスの山田紀彰氏(筆者撮影)

 福岡市発祥のラーメン店「一蘭」で働く社員には、基本的に肩書や役職がない。

 理由は、年齢や上下関係などに気を遣うことなく、風通しの良い組織にしたい。そうした思いがあるからだという。今回インタビューした一蘭ホールディングスの山田紀彰氏は、事業統括責任者という立場だが、名刺にはHR、給与、財務などと役割だけが羅列してある。

 これだけではない。その他にも一蘭の組織運営には独自性がある。それが企業としての強さの源泉になっているのだろう。前編【ラーメン業界の革命児「一蘭」幹部に聞く 最高益をたたき出した「3つの要因」】に引き続き、具体的に見ていこう。

●100以上の項目から成る「フィロソフィル」

 同社には現在、670人ほどの社員がいるが、その多くが店舗アルバイト出身である。

 山田氏も学生だった20歳の頃、アルバイトとして働き始め、そのまま就職して社員になった。4年ほど店舗スタッフを経験した後、店長に昇格。福岡市内の店を転々とした。そして約15年前に財務・経理の担当として本社勤務となり、今に至る。

 なぜこのようなたたき上げのキャリアを重視するのか。それは「理念教育」と関係する。

 「会社の理念を理解した上で、それを接客や調理など店舗の運営に生かしていくことが求められます。(アルバイトで)長く働いてくれている方や、入社意欲がある方は会社に対してもう既にロイヤリティーが高いし、われわれとベクトルが合っているので、こちらとしても教育がしやすいのです」

 一時期は外部からも意識的に人材を採用していたこともあったが、「こんなはずではなかった」といったミスマッチも少なからず起きていた。そのような背景もあり、結果としてアルバイト出身者が大半を占めるようになっている。

 では、その理念教育とはどういうものか。

 一蘭には「Philosophy'll(フィロソフィル)」という言葉がある。これはPhilosophy(哲学)とWill(志)を掛け合わせた造語で、吉冨学社長が考案。「何のために事業を行うのか」「どのようにして仲間を導いていくのか」など、企業としてのあるべき姿を説いている。

 フィロソフィルの詳細については非公開だが、実に100以上の項目があるそうだ。社員は毎日その中から一つを選んで、日報などに書き込むことをルーティンとしている。

 また、店では始業前に「私たちの生活は一人のお客さまがわざわざ足を運び、一杯のラーメンを食べていただくことで成り立っています」というような唱和を行うそうだ。さらに同社には、「See The World」という社歌もある。

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