NTT東と東大が連携 IOWN推進室長に聞く「リモートバイオDXの展望」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月3日 8時15分
今後は2030年の最終目標に向けて、現在、世界の半導体メーカーが開発を進めている銅線を使ったナノ(1ナノは1億分の1メートル)レベルの超微細電子回路に代わって、光で受けて光でデータを送れるようになれば、半導体の製造方法にもゲームチェンジが起きるかもしれない。
そうなれば、送受信の際に電気抵抗がなくなるため、電力消費量も大幅に減らすことができる。その究極の事例として、光を使ったIOWNで送受信すれば、度々充電しなければならないリチウム電池を使っている今のスマホに代わって「1回充電すれば1年間は大丈夫」といえるほどの低消費電力のスマホの誕生も夢ではないという。
●データセンターも削減
現在、日本の光ファイバーの整備率は99.8%になっており、全国に光ネットワークが広がっている。新國室長は「この光ネットワークを活用するための次の一手を探しています。多くのデータ送信が必要となる未来の街づくりや、栽培データが重要な植物工場などのスマート農業、放送局などメディアでの利用など多くの可能性があります」と予測する。
AIや生成AIを利用するケースが急増しているため、日本でも各地にデータセンターが多く建設されている。新國室長は「IOWNはメモリーを直接つないでデータを送受信できるため、電力を食うことになるCPUやGPUの稼働を最小限にしてデータを送ることができます。このため、データセンターが遠隔地にあっても、サーバー間をつなげることが可能になるので、いまのようにデータセンターを何カ所も建設する必要性はなくなります」と指摘。データセンターの数を劇的に減らせる。
1980年代のバブル崩壊から、「失われた30年」と言われた時期に、日本の技術力は低迷を続けてきた。IT技術はことごとくGAFAMと呼ばれる米国の大手ITメーカーの後塵を拝してきた。いま大流行の生成AIの領域でも彼らと対等に闘うのは厳しい情勢だ。その中で唯一、日本独自の技術で花開くポテンシャルを秘めているのが、NTTグループが開発に力を入れてきたIOWNのネットワーク技術だ。
新國室長が予測するように、日本経済の活性化につながるようなゲームチェンジ技術に成長することができるか。
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