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中堅は「給料減」 相次ぐ大手企業の「初任給アップ」の背景にある悲しい事情

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月11日 7時15分

(3)即戦力人材の離職

 新卒社員にとってはメリットでも中堅社員にとってはモチベーション低下のデメリットとなり離職する可能性が高まります。結果的に組織としての人材分布のバランスが悪くなってしまうことが想定されます。

 初任給アップは前述したように新卒社員にとってはメリットがある一方、初任給のアップの対象となっていない入社3~5年目の社員にとってはデメリットとなっている場合があります。

 初任給から3~5年かけて努力してやっと昇給したと思ったのに、新卒の初任給と差がほぼなくなってしまっているといった現象も起きていると言います。また、今後の昇給についても不透明な状態が続いてしまえば、当然のことながら企業に対して不公平感や不満が高まり、モチベーションの低下や離職にもつながってしまいます。

 また、厚生労働省が発表した令和5年賃金構造基本統計調査によると、大企業では20~29歳の若手社員の賃金が増加している一方で、中堅といわれている35~54歳の賃金が相対的に減少していることが明らかになりました。

 このことは中堅社員の方が経験もスキルもあるにもかかわらず、絶対数として少ない若手社員の労働力の希少性に対して報酬が払われていることの表れともいえるのかもしれません。

●企業規模、地域による「採用格差」も深刻化

 企業規模別でみても、中小企業と比較すると1000人以上の大企業の方が賃金水準としては高い金額になっていて、初任給も高くなる傾向があります。また、地域別でみても東京、神奈川、大阪といったいわゆる首都圏の企業の賃金水準が高くなっており、首都圏の企業の初任給が高くなるのは必然とも言えます。

 結果的に大企業や首都圏の会社に人材が集まってしまい、中小企業や地方の企業は優秀な人材の確保が難しく、新卒の確保がさらに困難な状況になっていると言えます。

 労働政策研究・研修機構の「2023年度版労働力需給の推計」によると、労働力人口は2022年の6902万人から2040年には最大で6002万人まで減少が見込まれるとしています。また、15~29歳においては2022年の1152万人から2040年には1031万人に減少することが見込まれてます。

 外国人労働者においては、2024年1月26日の厚生労働省の発表によると約200万人で過去最高となっています。しかし近年の円安の影響もあり、外国人労働者数が日本から離れているというニュースも最近はよく目にします。

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