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新卒の早期退職、背景に「10年で180度変わった価値観」 辞めないOJTを探る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月13日 6時25分

 その特徴として「デジタルに慣れ親しんでいる一方で、対面コミュニケーションの経験に乏しく、『仲間』以外の世代との距離感に戸惑う面もある。また、タイパを重視し、唯一の正解を求める傾向が年々増している」と分析している。

 タイムパフォーマンス(時間対効果)に敏感な一方で、正解探しの傾向が強いというのは、正解のないビジネスの世界で奮闘している経営者にとっては、ちょっと引いてしまいそうだ。

 2024年度入社の新入社員の特徴について大学でキャリア教育の講師も務める文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の平野恵子所長は「人の言うことはよく聞く謙虚さや素直さを持ち、指示されることに慣れている世代」と分析する。

 その背景として大学入学当初に新型コロナウイルスが蔓延し、キャンパスに入れず、講義もオンライン。サークル活動やアルバイト経験も少なく、講義に出席しても席を空けて座るなど大学の厳しい管理下で過ごすなど自由な大学生活を謳歌(おうか)できなかったことを挙げる。

 「高校でも管理され、大学入学2年目までの講義は申告した上で席に座り、感染者が発生したら周りの学生も休ませられるといった管理をされて育った。指示されるのは当然と考えており、逆に指示してくれないと困るし、動けないのは当然という感覚を持っている」(平野氏)

 OJTもよほど注意しないと離職の引き金になる可能性もある。しかも指導する上司や先輩は前述の10年前の価値観と教育で育った世代だ。前出の桑原主任研究員はOJTのポイントについてこう指摘する。

 「なぜこの仕事をやることが大事なのかという意味を伝え、納得感をしっかりと本人に持たせること。OJT担当にぜひやっていただきたいのは目的を共有すること、もう一つは本人の個性を知ることだ。本人の持ち味を知らずして成長にはつなげられない。本人が大事にしていることと、今の仕事をリンクさせて語る。『あなたはこういうことを大事にしているよね、将来はこうありたいと言っているよね、今の仕事は大変だけど、この仕事を通じてスキルアップにつながるかもしれないよ』と、本人にとってなるほどと思えるようなつなぎ方をすれば、決してやりたいことだけをやるのではなく、組織としてやってほしいこともやってもらえるようになると思う」

 丁寧な対応に加えて、仕事の与え方も細かく指示することが大事だ。新入社員研修をはじめ企業研修を手掛けるALL DIFFERENTの組織開発コンサルティング本部シニアマネジャー・開発室室長の根本博之CLO(最高育成責任者)は以下のように話す。

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