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新卒の早期退職、背景に「10年で180度変わった価値観」 辞めないOJTを探る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月13日 6時25分

 「箸の上げ下げのレベルからしっかりと指導してあげるマイクロOJTが必要になる。例えば議事録の書き方であれば、この項目はこの順番で書きなさいと細かく教えてあげる。管理職の研修では、自分たちはそういう風に教わっていなかったので、どうしてそこまでやらないといけないのかという声が必ず出てくる。しかし、そうしなければ今の新人は何が分かっていて、何が分からないのかが分からず、育つ人は育ち、育たない人は育たないという状況になってしまう」

 ここで問われるのは、新人の思いを引き出す対話力だ。コツはあるのか。根本氏は「リーダーに求められるのは対話力と言語化力の2つであるが、管理職の言語化力、言葉にする力を高めていく必要がある。新入社員は何が不安なのか分からない漠然とした不安を抱えている。例えば何が不安なのかを管理職自身が考え、言葉にしてあげることだ」と話す。

 対話力、言語化力はフィードバックの胆ともいえるが、実際に完璧にこなせる管理職は2割程度だと根本氏は言う。つまり8割の管理職は学び直しが必要ということだ。対話力が苦手な管理職だと、つい感情を表出しがちだが、最近はパワハラと言われるのを恐れて、新人の失敗を注意するのもつい遠慮がちになる。

 ラーニングイノベーション総合研究所の「管理職意識調査(部下へのフィードバック実態編)」によると、部下の育成に悩んでいる管理職が54.3%と半数以上に達している。

 また、フィードバックすることに躊躇(ちゅうちょ)したことがあると答えた管理職は57.0%も存在した。その理由で多かったのは「部下の反応に対して不安があるから」(39.9%)、「適切な伝え方が分からなかったから」(37.0%)、「自分が本当に正しいかに自信がなかったから」(29.0%)の3つである。

 しかし、注意するのを躊躇していては新人は育たない。根本氏は新人がミスしたら、先送りにしないでその場で指摘することだと語る。

 「ミスした時点での“現行犯逮捕”が鉄則。何ができていなかったかを即フィードバックする。ちょっとでも期間を空けると『そうでしたっけ』となってしまう。とくに仕事を過信している新入社員ほど、何か言い返してくるのではないかと注意するのを避けがちになるが、『こうなってほしいから変えてほしい』と、期待をかけながらも、ときには本人の鼻を折ることも必要だ」

 10年前とは仕事に対する考え方や価値観が異なる20代が企業内で増えつつある。対応していくには上司の対話力、言語化力の強化も含めたリーダーの再教育も求められている。

●著者プロフィール

溝上憲文(みぞうえ のりふみ)

ジャーナリスト。1958年生まれ。明治大学政治経済学部卒業。月刊誌、週刊誌記者などを経て独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』で日本労働ペンクラブ賞受賞。

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