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「有給を使い切って退職」と「買い取って早めに退職」 会社・社員にとってお得なのは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月14日 6時25分

・法定の日数を超えて付与した年休

・付与日から2年間を超えて時効となった年休

・退職日までに取得することができなかった年休

 今回の質問の件は、「退職日までに取得することができなかった年休」となり、違反するものにはあたりません。そのため、法令的な観点では問題ないと考えられます。

●支払方法の観点

 退職日までに取得できなかった年休を買い取る場合、通常の給与とは別に支払う必要があります。方法としては一時金として賞与で支払う、退職金として支払うという2つが考えられます。次の条件で、それぞれの違いを比較してみました。

買い取った年休を賞与で支払う場合と、退職金で支払う場合の比較

 所得税については、賞与で支払う場合は、支払額から給与所得控除と社会保険料を控除した金額が課税の対象額となります。

 退職金として支払う場合には、支払額から勤続年数に応じた額を控除し、さらにその金額の2分の1が課税の対象額となります。勤続年数1年ごとに40万円ずつ控除額が増えるため、この退職者の場合は200万円までは所得税は0円となります。よほど給与が高くない限りは、年休分の退職金に所得税が発生することはないでしょう。

 また賞与で支払う場合、社会保険料は支払額に保険料率を乗じた金額が本人負担、事業主負担として発生しますが、退職金として支払うと社会保険料の対象にはならないので、本人負担、事業主負担ともに0円となります。

 このことから年休を買い取る場合は、退職金として支払えば、退職者にとっては手取りが増え、会社にとっては事業主負担の社会保険料が削減されるので、双方にとって有利となります。

●経済的な観点

 では年休を買い取った場合、年休を使い切って退職する場合と比較して、「会社が従業員に支払う額」「社会保険料などその他負担金を合わせた金額」「退職者の手取り額」に差は生じるのでしょうか。

 先ほどと同じ退職者を例に、年休の残日数分を退職金に上乗せして退職時期を早める場合(3月31日退職)と、最後まで年休を使い切った後に退職する場合(5月15日退職)において、4~5月分の会社の支払額と本人の手取り額を比較してみます。退職した後は、社会保険料については国民年金と国民健康保険に加入するものとします。

買い取った年休を退職金で支払う場合と年休を最後まで使い切って退職する場合の比較

 事業主の支払額を比較すると、買い取った年休を退職金で支払い退職日を早める場合、会社は4~5月の社会保険料の負担がなくなるため、年休を使い切って退職する場合より有利になります。

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