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「黒づくめの組織」が起爆剤に? 『名探偵コナン』の映画がヒットし続けるワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月27日 8時10分

 これら3作品に共通しているのは、シリーズの中心となる「黒ずくめの組織」をストーリーの核心に据えていた点である。製作陣は、原作の幹となるストーリーラインと映画作品を密接に関連付けることで、ファンの期待に呼応し、興行収入の向上につながると見越していたのだろう。

 実際、2023年公開の『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』では、「黒ずくめの組織」に加え、人気キャラクターの灰原哀にもスポットライトを当てるなど、複数の要因が相乗効果を生み、興行収入100億円の大台を超えるに至った。

●「スターシステム」をフル活用

 なお、2024年作品でも人気キャラクターの「怪盗キッド」にスポットを当て数字を獲得する一方、原作未公開である、主人公の出自に関する新設定を映画内で公開するなど、これまでにやっていなかった挑戦を行っている。

 これは作者・青山剛昌氏や小学館による、怪盗キッドが主役の連載『まじっく快斗』とあわせた戦略的な取り組みであろう。つまり、『名探偵コナン』に留まらず、スターシステム(マンガの登場人物をさながら映画俳優のように扱うシステム)を最大限活用した「青山剛昌ワールド」の構築が企図されていると考えられるのである。

 『名探偵コナン』の人気上昇と映画の興行収入向上には、明確な理由と戦略があり、その手法は再現性が高い。今後も同程度の業績を維持すると考えられる。さらに、作者の別作品『YAIBA』が今後アニメ化されることでスターシステムが強化され、「青山剛昌ワールド」が更に発展する可能性もある(事実、YAIBAのキャラクターが今年の映画にも出演している)。こうしたことから、『名探偵コナン』は今後も日本の漫画・アニメ・映画市場で息の長いコンテンツとして業界を牽引(けんいん)するだろう。

●著者プロフィール:滑 健作(なめら けんさく) 

 株式会社野村総合研究所にて情報通信産業・サービス産業・コンテンツ産業を対象とした事業戦略・マーケティング戦略立案および実行支援に従事。

 またプロスポーツ・漫画・アニメ・ゲーム・映画など各種エンタテイメント産業に関する講演実績を持つ。

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