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22万円以上もするのに、なぜ? LIXILの「ボディハグシャワー」が前年比2倍の理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月27日 9時4分

 リクシルは、ボディハグシャワーの開発に4年以上の歳月をかけている。全身シャワー自体は1990年代から市場にあり、同社は2000年代から同カテゴリーの商品を発売していた。とはいえ全身シャワーの認知度は数%で、介護利用目的での購入が中心だったと浴室開発部の小栗綾子氏は言う。

 「当社の全身シャワーは『介護利用向け』とうたってはいませんでしたが、認知度が低い、水栓付きでサイズが大きい、設置の難易度が高いなどの理由で普及していませんでした。そこで、浴室リフォームを機に入浴を効率化したい層に向けて開発したのが、ボディハグシャワーです」(小栗氏)

 浴室空間になじむデザインに加え、「最適な浴び心地」の実現にも苦労したという。身長145~185センチメートルの幅広い体格の人に使ってもらうことを想定し、社内から20~50代の男女20人を集めて官能評価(人間の五感を使って品質を判定)を繰り返した。

 「ノズルは200種類以上を試しました。アームの形状やノズルによって水の飛び散り方が異なり、それが気持ちよさや体の温まりを左右するためです。最終的に200人以上にモニタリングしてもらい、官能評価を通じて全身がお湯で包まれるような浴び心地を追求しました」(小栗氏)

 そうした試行錯誤の末、収納時はコンパクトながらハの字型で降りてくるアーム、位置によって異なるノズルなど、これまでにない発想の全身シャワーが完成した。

●コスパ、タイパ需要で、売り上げは前年比2倍に

 新しい発想で開発されたボディハグシャワーは、販売戦略にも工夫を凝らしている。工務店やホームセンターを介して消費者に販売する従来のB2B2Cではなく、自社のWebサイトで販売するD2Cを採用。かつ、リクシルでは珍しく発売前に発表会を開催し、その場に出席した記者(媒体)に体験を促したという。

 「工事が必要、かつ一般的なハンドシャワー製品と比べると高価なため、単にWeb上に掲載しただけでは難しいだろうと。早期の話題づくりを意識して、発売前に発表会を開催し、あまりアプローチしてこなかった媒体にも参加を促しました」

 結果的に反響が良く、同社ではあまり縁がなかった女性誌やキュレーションメディアを含む15媒体ほどで掲載。当時はコロナ禍で、「自宅時間を快適にしたい」という風潮があったこともプラスに働いた。

 さらに、自社Webサイトでもスポーツ選手や温泉療法専門医、日本サウナ学会代表理事などボディハグシャワーへの共感度が高そうなインフルエンサーの体験インタビューを掲載している。

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