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熱心な指導とパワハラの境界線が「正直分からない」と悩む上司へ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月27日 8時25分

●具体的に、どうしたら「パワハラ認定」されないのか?

 実際、「指導」と「パワハラ」の境界線について過去の判例をひもとくと、たとえ業務遂行目的だとしても、下記のような要素が含まれると、パワハラと判断されてしまう傾向がある。

・感情的な怒号や粗暴な言葉遣い

・指示内容が抽象的、感覚的で伝わらない

・なぜ叱責されているのか理由が分からない

・相手の受忍できる限度を超える長時間や高頻度

 逆にいえば、「業務遂行や育成指導のために必要なもの」であり、「合理的な内容」で、「相手に対する人格的な攻撃が含まれない」ならばパワハラではないと判断されている。

 指導の際には理不尽な叱責と捉えられないよう、指示や指導の理由を明確にし、相手が不本意と感じるような言い回しや繰り返しは避けるよう配慮すべきである。具体的には、このような流れがよいだろう。

・指導の目的、理由、相手にどうなってほしいかというゴールイメージを共有する

・相手の理解に合わせて言葉を選び、具体的に伝える

・相手のミスやトラブルによって、どんな問題や損失が発生しているのか説明する

・改善のために今後どう行動するか、本人の意見も聴きながら策定する

・業績が良くても、ルールを守れない者は評価できない、といった姿勢を伝える

・今後も問題が続くようであれば、就業規則に則った処分に該当する旨を伝える

・最後に、指導が伝わったか本人の言葉で説明させる

 このように指導していけば、部下としても何が問題で、何をなすべきか理解できるはずだ。指導の目的は相手を畏怖させて支配することではなく、主体的に行動が変わることである。

●パワハラ多発組織は「低賃金」「余裕がない」――根本原因から解決せよ

 「職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメント対策に関する労使ヒアリング調査」(独立行政法人労働政策研究・研究機構)によると、パワハラが起こる背景や原因にはさまざまな要素が絡み合っており、中でも「過重労働とストレス」「職場のコミュニケーション不足」「管理職の余裕のなさや教育不足、マネジメント能力不足」「成果主義や業績向上圧力」などの影響が大きいとされている。

 すなわち、パワハラがまん延している企業の多くは、もうかっていないがゆえに低賃金で目標ばかりが高くなり、従業員たちに心の余裕がなく、当然コンプライアンスは後回しだ。そうなるとまともな人材は採用できず、営業成績を上げただけで自動的に上司となり、部下を動かすにもパワハラ的な言動しかできない……という悪循環となってしまうものと考えられる。

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