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渡り鳥の移動ルートを追ったら、何が分かった? LUSHの徹底した「リジェネラティブ」を読み解く

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月18日 7時15分

 LUSHは里山を再生させる中で栽培した植物などの一部を原材料に使用。例えば、米粉を使ったフェイスマスクなどスキンケアとして展開してきた。一方的に自然から搾取するのではなく、事業活動を通じてさまざまなプラスを自然に返しているのだ。

 このような徹底したリジェネラティブを発信する場が、店舗だ。渡り鳥の活動など世界中のさまざまな原材料調達のストーリーを商品とともに発信していく。世界中の約1000店舗がメディアとして機能している。

●広告費はかけない 店舗が最大のメディア

 「LUSHはイメージ先行型の夢を売るような広告は作りません。店舗やスタッフが広告塔となって情報を発信しています」と小山さんは自信を見せる。

 例えば、LUSHの商品を買いに来た消費者が店を出るときには一つの社会問題に関心を持つようになる。帰り道で環境問題について検索してみる。LUSHの取り組みを知ってチャリティー対象の商品を購入してみる──店舗やスタッフを通じてさまざまなアクションが生み出されるよう、お客の興味に合わせた接客を意識しているという。

 「店舗はポップでカラフルな内装で、来るだけで気持ちが上向きになります。ですが、それだけではありません。その裏で、環境問題やさまざまな社会問題にすごく真剣に向き合って、本気で変化を起こせると信じている集団がLUSHなんです。そこにお客さまも巻き込んで、一緒に変化を起こしていく。それがLUSHのやり方です」

 その言葉を体現するようなエピソードがある。

 スタッフの興味関心が非常に高い「同性婚の法制化」に向けたキャンペーンを複数回実施している。チャリティーボディソープを販売し、消費税を除く売り上げの全額を公益社団法人Marriage For All Japanに寄付したり、人々に行動を促すようなキャンペーンを店舗で展開したりした。

 「日本全国のショップでキャンペーンを展開したところ、家族や友人にすらカミングアウトしていなかったのに、店舗スタッフにカミングアウトされたお客さまが何人もいらっしゃったことが後から分かりました。LUSHは化粧品のお店ですが、当事者にとっての安心できる場所になれた、コミュニティの場になれたことが何よりの成功だったと思っています。ショップで商品を楽しんでいただくことも大事ですが、ショップに来たお客さまが優しい気持ちになれたり、迎え入れられた気持ちになれたりする場所であり続けたいと思っています」

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