投資判断を左右する「経営者メッセージ」、響く伝え方は? オリックス、塩野義製薬の統合報告書に見る
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月24日 8時15分
一方で、市場では半年後、1年後といった短期の結果が求められます。足元の業績を作ることに精一杯で、夢を語れなくなってしまう経営者は少なくありません。
しかし今、世の中には解決すべき課題が山積しており、夢を語る材料はたくさんあります。社長メッセージでは月並みな抱負を述べて終わるのではなく、オリジナルな夢を語ることが期待を生み、資産を集めるカギになります。
●統合報告書における社長メッセージの事例紹介
統合報告書には、さまざまな社長メッセージがあります。優れた社長メッセージの事例をいくつかご紹介します。
オリックス:経営信条を語る
オリックスのCEOメッセージでは、グループCEOの井上亮氏が、2014年の就任以降について自己採点という形での振り返りや、失敗から学ぶ経験の大切さ、次世代へのバトンタッチやこれからの経営体制、サステナブルな事業の推進や人材に関する考えなどを語っています。
「失敗で追い詰められた経験をオリックスで一番多くしているのは私だと思います。そして振り返ってみると失敗からこそ学ぶことが多くあります」「他社では案件で失敗した人は外されがちではないかと思いますが、当社では外されないし、ペナルティーもありません」「実務で失敗を経験しても人が残ることで会社にノウハウが蓄積します」など、自らが歩んできた経験から、失敗を責めず、失敗が会社の成長に生きるという経営信条を語っているのが印象的です。
参照:INTEGRATED REPORT 統合報告書2023(参考リンク:PDF)
塩野義製薬:リソースを大きく割いたコロナ対応で得た学びを強調
塩野義製薬の社長メッセージは、大きく「2020年度~2022年度におけるビジネスの振り返り」と「2030年Vision実現に向けて」という2部構成になっています。
振り返りのパートでは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大時、研究開発リソースの8割を投入した経営判断に対する結果とともに、CEOの手代木功氏の考えが率直に描かれています。
Vision実現への展望を語るパートでは「ひとたび注力するニーズを特定すれば、COVID-19で学んだ最速解へのアプローチと大胆なリソースアロケーションにより、リスクをとりながらも、いかに早く人々の健やかで豊かな人生に貢献するソリューションを世の中に届けられるかという観点でSHIONOGIの強みを発揮していきます」と、COVID-19での学びを強みに転換する姿勢が強調されています。
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