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なぜ人は「3分のドラマ」にハマるのか BUMPが刺激する“非合理的な欲求”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月6日 8時10分

 そしてもう一つ、脚本を作る上で留意しなければならないのは「切り抜き」ポイントの数だ。BUMPは集客に広告を使わず、コンテンツを数十秒にカットした「切り抜き動画」をSNSに配信し、認知獲得を図っている。つまり切り抜き動画を“バズらせる”ことが集客の肝だ。

 「1本の切り抜き動画が数百万~数千万回再生されることもあり、『切り抜き動画の再生回数』と『切り抜いて面白くなるシーンが何カ所あるか』は非常に意識しています。脚本を書く段階から“切り取ってSNSに出す”ことを考えているので、普段は映画の脚本を書いている人からするととても新鮮に映るようです」

●ライバルはNetflixではない

 ショートドラマというジャンルが成長するに当たって、競合となる既存産業はどこになるのか。NetflixのようなOTT(Over The Top、インターネットを通じてコンテンツを配信するストリーミングサービス)かと思いきや、そうではないという。

 「よく『Netflixなどを利用している層からリプレースさせるのか?』と聞かれますが、僕は全然違うと思っています。その市場よりも電子書籍やスマホゲームの市場の方が大きく、かつ、BUMPのターゲットと親和性が高いといえます」

 スマホゲームの国内市場規模は約1兆3000億円(2022年)、電子出版市場は5013億円(2022年)だ。この2つを合わせると2兆円に届きうるのに対して、日本の動画配信市場は5305億円(2022年)にとどまる。

 また、「OTTのユーザー層」と「スマホゲーム・電子書籍(漫画)のユーザー層」は性格が大きく異なるという。

 後者のユーザー層はより短い時間で楽しめるコンテンツを求め、1回当たりの課金額が低いものを好む。例えば、休日には一日中寝転がりながらSNSや漫画アプリを楽しむ一方で、Netflixのようなサブスクサービスに加入することには高い心理的ハードルを感じている――といったように。

 従量課金制で、コンテンツが短く区切られ、スマホでサクサク見れるショートドラマは漫画アプリなどの消費体験により近いというわけだ。

●人間の“非合理的”な消費行動

 実際、BUMPのビジネスモデルは漫画アプリがたどってきた歴史を大いに参考にしているという。

 「もともと漫画の単行本は書店でのみ販売していた時代から、電子書籍化され、漫画アプリ上で1話単位で販売されるようになりました。漫画アプリでは最初の話から途中までは無料で読むことができ、有料話も小さな課金額で読み進めていけます。これに近い構造を作れたらうまくいきそうだと思いました」(澤村CEO)

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