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なぜ人は「3分のドラマ」にハマるのか BUMPが刺激する“非合理的な欲求”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月6日 8時10分

 ところが資金調達のために投資家を巡っていた時、事業の成長性について疑問を投げかけられることが何度もあった。

 投資家の指摘はこうだ。漫画アプリが成長しているのは「漫画はお金を払って読む」という文化が根付いているからであって、映像コンテンツはレンタルビデオ店に行けば100円で映画が見られるし、それでも「高い」からということでサブスクサービスが生まれ、月額1000~2000円で映画が見放題になった。そんな現代で、同社のサービスは時代に逆行しているのではないか?――と。澤村CEOは当時を振り返る。

 「いやいや関係ないですよと(笑)。人間、そんなに合理的に消費してないですよと思って。B2Cのコンテンツで重要なのは欲求を引き出せるかどうかです。

 『続きが気になる』という欲求は非常に強いと思っていまして。例えば次の日朝早く起きなきゃいけないのに、読んでいる小説が面白くて眠れなくなってしまったというような経験は誰しもあると思います。

 また、ご飯を食べるのも忘れてゲームに没頭する人もいるように、人間の『次(の話や展開)に進みたい』という欲求は睡眠欲や食欲に勝つほど強いわけです。この強烈な欲求に対して、数十円程度の課金は障壁が低いと思ったんですよ。

 コンテンツの媒体が漫画なのか、映像なのかというのはあまり関係がなく、続きが気になるものさえ作れれば映像でも課金するはずです。むしろ漫画は字を読まなきゃいけないのに対して、映像は自動的に情報をキャッチできるので、パイとしては映像の方が大きいだろうなと」

●若手クリエイターが挑戦しやすいフィールドとして

 世界におけるコンテンツ市場規模を俯瞰(ふかん)すると、日本は12.9兆円で第3位に位置する。2013年に中国によって2位の座を奪われており、その市場規模は日本の約2倍となる27.2兆円だ(2021年時点)。

 日本コンテンツの海外売り上げは、鉄鋼産業、半導体産業の輸出額に匹敵する規模である一方で、その内訳はゲームとアニメが90%を占め、映画・テレビは3%にとどまる。日本のショートドラマコンテンツを発展させることで、世界における競争力を高めていきたいと澤村CEOは話す。

 「映像コンテンツのショート化と、従量課金型という販売モデル。この2つが掛け合わさったことで、ショートドラマが一つのコンテンツ産業として成立しつつあります。われわれがこの領域を世界に広げていくことで、日本が(世界におけるコンテンツ市場競争を)逆転する未来をつくっていきたいと思っています。

 そのためには日本のクリエイターを育てていくことが重要だと考えていて、韓国がこの10年間でエンターテインメント業界に投資してきた間、日本はそれを怠ってきたと思っています。

 われわれは、作品づくりに関わったクリエイターや配信元にお金が還元され、ヒットしたコンテンツが生まれた時にお金がしっかり循環するエコシステムをつくっています。

 また、ショートドラマは映画と比べるとはるかに低コストでチャレンジできるため、若手クリエイターがチャレンジしやすいんです。若手クリエイターがショートドラマで活躍し、そこから次のステップにつながっていくというような、そんな場所になれたらいいなと思っています」

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