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国内リテールメディアの問題とは? ただのトレンドで終わらせないために

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月17日 13時30分

 しかし、実際にはそうなっていないリテールメディアが多くあるように感じます。筆者自身、とある小売業者のメディアでずっと女性向け商品の広告に追いかけられています。そのメディアは筆者を男性ではなく女性と認識しているのか、属性をどのように分析しているのか分かりません。いずれにしても、本当の意味でリテールメディアとして機能しているとは言い難いでしょう。

 もし、この程度の活用であれば、そこにはリテールメディアならではのベネフィットは存在せず、他の凡百のネットワーク広告に巻き込まれ、低単価勝負を強いられます。

 Walmartに出稿する広告がCPM20ドルという驚きの値段をつけられている理由は、彼らがリテールメディア固有のベネフィットを広告主に提供しているからに他なりません。

●リテールメディアの未来は「エコシステム構築」にある

 リテールメディアが実現できること、また期待されていることを整理すると、

・ファーストパーティーデータを使うのだから、まず購買者にとって有益な買い物や使用体験を実現する

・実際のリテール店頭体験をリッチなものに変え、リテール自体の価値を上昇させていく

・広告主(メーカー)へ、あえてリテールメディアに出稿することのベネフィットを提供する

 ということにまとめられるでしょう。その結果「広告主と購買者双方が素晴らしい経験をできる場所」を提供する小売業者は双方から喜ばれ、自社のロイヤリティーも上がる。こんなエコシステムを作ることこそが、誰よりも消費者に近い領域にいるリテールメディアに期待されていることではないでしょうか。

 現在、国内において主流と考えられているデジタル中心のリテールメディアでは、店頭における1on1の体験創造という点ではまだまだこれからです。一方、既に北米では2023年末に全米小売業協会(NRF)が主催したNRF 2023 Retail’s Big Showにおいて、魅力的な店頭体験の創出こそが次代のリテールメディアが目指すところ、リテールメディア3.0として語られています。

 まずは手前にある「リテールメディアの本懐とは?」という視点に加えて、その先にある理想のエコシステムの構築を目指してアセットの充実を図っていく必要があるでしょう。

 次回以降、この領域で25年の経験を持つカタリナマーケティングジャパンの視点において、「理想の体験を作り出す条件」を“資源”という面に着目して皆さまにお届けできたらと思います。

●筆者プロフィール:松田伊三雄

カタリナマーケティングジャパン 取締役副社長 Chief Operating Officer

国内大手アルコール飲料メーカー及びグローバル消費財メーカーにて流通企画、ブランディング、営業・戦略部門を統括。国内大手GMS及びCVSのマネジメントも経験、ウォルトディズニージャパンでブランドライセンスによるマーケティングサポートのマネジメントを経て2019年カタリナマーケティングにVPとして入社。CMO、取締役CCOを経て2024年6月より取締役副社長COOとしてリテールメディアエリアを統括。

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