世界で「緑茶」ブーム? 国内市場は縮小を続ける一方、まだまだ大注目なワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月24日 6時20分
●飛躍が期待できる取り組みや、世界的トレンドも
このような流れの中で、各産地の生産者は新しいお茶のスタイルを考え、新たなマーケットの開拓を進めようとしています。その一つが、清涼飲料水や食料品などを手掛けるBenefitea(ベネフィッティー、静岡市)が作るボトリングティーです。
同社はクラフトビールやワインのようにおしゃれな瓶入りのお茶を作っており、G7広島サミットでも同社の製品が提供されました。その価格は何と、375ミリリットルで1万7280円。完全受注生産の特別品ではありますが、一般的なペットボトルのお茶と比較して100倍以上も高いプレミアムなお茶です。同社ではスパークリングティーなどの新商品も開発しており、新しいマーケット開拓につながると全国の茶産地からの引き合いも年々増加しているそうです。
今、世界で加速している「ソバーキュリアス」の流れも、お茶には追い風でしょう。ソバーキュリアスとは「sober(酔っていない)」と「curious(好奇心旺盛な)」をつなげた造語です。高アルコール製品やアルコールそのものを避け「お酒が飲めるのに、あえて飲まない」というライフスタイルを指します。
米業界調査IWSRのデータによると、世界のアルコール消費は減少しており、特に米国でのスピリッツ消費はマイナス基調。代わって伸びているのがノンアル飲料やハードセルツァーです。ハードセルツァーとは、アルコール度数が5%程度あるものの、フルーツ風味などで飲みやすくした低糖質かつ低カロリーな、健康的イメージを強化した飲料です。健康志向がますます強まる中で、世界の飲料メーカーはノンアルやハードセルツァー飲料を次々と開発しています。
こうした流れから、日本の緑茶はノンアル飲料の代表的なアイテムとして、今後大きく売り上げを伸ばしていくチャンスがきていると考えられます。日本の食文化を代表する緑茶は、健康的で、もちろん味も高い評価を得ています。日本国内から見れば「古い」と思われるものでも、世界から見れば新しい商品として提案できる余地があります。ソバーキュリアスというライフスタイルに合わせて開発し、販売スタイルを確立できれば、減少を続ける市場を回復させられる可能性があるはずです。これからの緑茶市場の動向に注目したいと思います。
(岩崎 剛幸)
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