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「面接と話が違う!」 部下の“残業拒否”を、受け入れる義務はある?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月16日 6時30分

「面接と話が違う!」 部下の“残業拒否”を、受け入れる義務はある?

(提供:ゲッティイメージズ)

●連載:Q&A 社労士に聞く、現場のギモン

働き方に対する現場の疑問を、社労士がQ&A形式で回答します。

Q: 私の所属する部署は、社内でも残業時間が多い部署です。先日、新しく入った中途社員の部下から「面接で聞いていた残業時間と違う。これほど働くなら入社していなかった」「残業を拒否したい」と申し出がありました。

 人事に確認すると、全社平均の残業時間のデータを伝えた可能性があるとのことでした。こうした場合、どのように対応すべきなのでしょうか。部下の残業拒否は聞き入れるべきでしょうか。

●「話が違う!」 部下の残業拒否は、聞き入れるべき?

A: まずは誤解を招いた経緯や事情を丁寧に説明する、誠実な姿勢が必要です。その上で、会社が労働者に残業を求められる条件や、また労働者が拒否できる場合を確認しましょう。

 そもそもの問題は、面接を行った人事担当者が誤解を招くような内容、データを伝えたことに端を発しています。

 まずは率直に、この部下に「面接では、全社平均の残業時間のデータを伝えてしまったため、伝えた時間を超える残業は発生しないものと誤解を招いてしまったようだが、実際には各部署で、業務上必要な残業時間が発生しうる」と丁寧に説明する必要があるでしょう。

 もっとも、会社が社員に残業をさせるためには、法的な要件があります。それらを満たしていることが前提です。要件の内容を確認しましょう。

 1つ目は、労使協定の締結と行政官庁への届け出です。

 労使協定とは、いわゆる36協定といわれるものです。労働基準法36条で「労使協定を締結し行政官庁へ届出た場合に限り、労働時間の延長と休日労働ができる」と定められています。

 2つ目は、個別の労働者に残業を命令できるよう、労働契約上、残業を行う義務が設定されていることです。つまり、労働契約上の根拠の存在です。

 具体的には、就業規則や労働契約書などに「36協定の範囲内で、会社は時間外労働を命じることができる」旨の規定が必要です。また、その就業規則は周知されていなくてはいけません。

 ただし、こうした適正な手続を踏んでいても、残業を拒否できるケースもあります。例えば、命令された社員に体調不良など正当な理由があったり、理由のない残業であったりする場合には、拒否することは可能と考えられます。法律でも次のような事情がある場合には、同様に残業を拒否できると定められています。

・妊娠中あるいは産後1年を経過していない

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