1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

リスキリング機能不全? 学び直しても賃金が増えない、当然の理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月18日 7時35分

リスキリング機能不全? 学び直しても賃金が増えない、当然の理由

写真はイメージ

 かねて、政府が推奨してきたリスキリング。言葉としては定着した感がありますが、リスキリング推奨に対する人々の受け止め方はさまざまです。

 政府は持続的な賃上げや労働移動の円滑化を実現するべく、リスキリングによる能力向上支援を重要な施策の一つに位置づけています。新たに発表される2024年の骨太方針では、経営者も含めるなど対象を広げて推奨する方向です。

 しかし、リスキリング推奨が賃上げや労働移動の円滑化などにつながっているのかどうか、いま一つ判然としません。「賃金〇%アップ」と景気の良い話はよく耳にするものの、それらは労使交渉や人材確保に取り組む企業努力の賜物という側面が強いようです。

 リスキリングによって賃上げにつながったという声をあまり耳にしないのは、なぜでしょうか。現況を分析すると「学びと雇用の接続不全」という構造的な課題が浮かんできます。

●「リスキリング」と「アップスキリング」の違い

 そもそも、リスキリングという言葉が使われる場面はマチマチで、言葉から受けとられるイメージはバラついています。リスキリングとは、新しい仕事に就くためや新しい時代に求められるスキルの変換に対応するための学び直しを意味し、いま就いている仕事の能力を上げる学び直しを意味するアップスキリングとは区別されるものです。

 それらの区別が分かりにくいこともあってか「リスキリング=学び直し全般」の意味合いで使われていると感じるケースも増えています。ここでは骨太方針が目的に掲げている賃上げと労働移動を実現させるための学び直しのことを、リスキリングと呼ぶことにします。

 リスキリングの目的を賃上げと労働移動とする場合、ゴールへ到達するルートは大きく3つのパターンが考えられます。

●賃上げと労働移動を実現する3つのパターン

(1)転職

 1つは、転職を通じて新しい仕事へと移り、賃金がいまより高くなるパターンです。具体的な職種を例に挙げながら確認してみたいと思います。

 令和5年賃金構造基本統計調査には、職種別の平均給与額が記されています。

 例えば「その他の一般事務従事者」に分類される職種であれば、「きまって支給する現金給与額」は32万2700円。一般事務従事者がリスキリングで経理知識やスキルを身につけ「会計事務従事者」に分類される職種に転職すれば、平均給与額は32万3500円なので賃金がアップしそうです。

 しかし、経理を学びさえすれば会計事務従事者に転職できるかというと、そう簡単ではありません。いざ転職するとなると、座学で学んだ知識や資格より、実務経験が重視されることが多いからです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください