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「日高屋化」する幸楽苑 ラーメン店から町中華へのシフトで復活できるか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月26日 15時36分

 その一方、コロナ禍で鉄道の利用が減り、駅近辺の店舗が多いことから3割もの売り上げ減に悩まされた日高屋は、打開策として出店エリアを見直し、郊外ロードサイドに進出。郊外店を強化しようとしている。つまり、日高屋は逆に「幸楽苑化」しているといえる。

●メニュー拡充で活気を取り戻しつつある幸楽苑

 幸楽苑HDの2024年3月期決算説明会で、新井田傳会長兼社長は「欧州では事業を100年続けて初めて評価される。幸楽苑も100年企業を目指している。その延長上に私の長男がおり、将来を託したが、4~5年の短い期間で業績の悪化を招いた。3連続営業赤字の決算で、その責任を取って社長職を辞したいとなり、私の出番となった」と、再登板の経緯を説明。加えて「当時のメニューは原理原則から逸脱しており、このメニューでは売れないと判断し、メニューの作り直しから入った」と、原点回帰のメニュー改革から事業再建を始めた。

 食材の値上がりがのしかかり、メニューの値上げも急務だった。主力のラーメン価格を490円に据え置きながら、利幅のあるセットメニューを数多く作って、値引きする方針で臨んだ。値上げラッシュの中で「お得感」に評価が集まり、結果として顧客が戻ってきている。ほとんどの店で、ランチのピーク時に行列ができるようになった。ディナー限定のメニューでは客単価が10円強上昇しており、いわゆる「ちょい飲み」も視野に入れた「中華ダイニング」メニューも好評だ。

 その他、ラーメン業界の新たな流行である「釜玉ラーメン」を取り入れたメニューの展開や「煮干しらーめん」「背脂中華そば」、期間限定の「鶏白湯らーめん」「冷麺」を発売するなど、ラーメンのラインアップも豊富になっている。こうした取り組みを踏まえ、新井田傳社長は「黒字決算を積み重ね、業績好調を自慢できる会社に育てたい」と抱負を述べている。

●「出自」の異なる親子が経営してきた幸楽苑

 現在、幸楽苑HDの社長を務める傳氏と前社長の昇氏は、親子でありながら犬猿の仲といわれてきた。傳氏は父が開業した中華食堂「味よし食堂」を18歳で引き継ぎ、「幸楽苑」と改称した上で2003年には東京証券取引所第一部へと上場(現・東京証券取引所プライム上場)。290円と超安価な中華そばを販売し、デフレの勝ち組となり、一世を風靡(ふうび)した。

 町中華で修業をした、いわば職人である傳氏に対して、息子の昇氏は慶應義塾大学経済学部から三菱商事へとエリートコースを進んだ秀才だ。その後、幸楽苑に入社。数々の経験を積んだのち「デフレ脱却」というテーマを託され、副社長だった2018年に社長へと就任した。

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