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「日高屋化」する幸楽苑 ラーメン店から町中華へのシフトで復活できるか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月26日 15時36分

 職人から叩き上げたチェーン店の敏腕社長に、高学歴エリートである後継者、さらに親子で仲が悪いというと、インテリア業界の覇者だった大塚家具を思い起こさせる。

 大塚家具の創業者・大塚勝久氏からバトンを受け継いだ娘の久美子氏は一橋大学経済学部から富士銀行(現・みずほ銀行)に就職し、国際広報業務に携わっていたキャリアウーマンだった。久美子氏は2009年に社長へ就任するが、業績は低迷。2019年にヤマダ電機(現・ヤマダHD)の傘下に入り、その後は吸収合併されて、栄華を誇った大塚家具は法人として消滅した(ブランドは存続)。

●斬新な施策もあったが、店舗数は大きく減少

 半面、幸楽苑は土俵際で辛くも残ったといえよう。昇氏が社長だったころは、客層の若返りや女性客の取り込みを図り、さまざまな施策が打たれた。原理原則にとらわれない発想によるものもあったが、最終的に深刻な顧客離れを招いてしまった。

 例えば2019年11月には、静岡県富士宮市にラーメンやコーヒーを楽しめる初のカフェ業態「KOURAKUEN THE RAMEN CAFE」をオープン。しかし伸び悩み、2022年10月に閉店した。

 他にもロッテとコラボして、バレンタインデーにちなんだ期間限定商品として3年連続で販売した「チョコレートらーめん」、餃子と「雪見だいふく」に、カラースプレーのチョコやカラメルソースをかけて「コアラのマーチ」を乗せた、恐らくもう二度とはお目にはかかれない、冒険的な商品「パニックde餃子with雪見だいふく&コアラのマーチ」などが思い起こされる。他の企画では、ラーメンに雪見だいふくを入れたり、雪見だいふくをチャーシューで巻いたデザートを提案したりもした。

 2023年1月にはユーグレナとのコラボで、鳥羽周作シェフが監修した「ビーガン餃子」を発売。インバウンド客に多いビーガンだが、幸楽苑でインバウンド客が来るような都心部立地の店は秋葉原店くらいしかなかった。つまり、業態にマッチしていなかった点が残念だった。

 他社の勢いがあるフランチャイズ(FC)に加盟し、不採算店を「いきなり!ステーキ」「焼肉ライク」「赤から」などの業態に転換していったのも悪手だったといえる。最初は好調に推移したが、いきなり!ステーキの失速が著しく、2020年3月末に16あった店舗は、現在全て閉店している。

 こうした経緯もあり、かつてホールディングスで500以上あった店舗は、2024年3月末時点で389まで減少している。

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