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リテールメディアの成長を阻む「3つの壁」とは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月26日 8時5分

 次にご紹介するのは「チャネルの壁」です。日本では特にオンラインを中心としたリテールメディアが先行し、展開が進んでいます。しかしオンラインだけで十分といえるでしょうか。

 読者の皆さまは、「ゆっくりレジ」というレジを聞いたことがあるでしょうか。ご高齢の方など、焦らずゆっくり会計をしたい来店者のために設けられたレジで、全国的に導入が進んでいます。こういったものに代表されるように、来店者のデジタルリテラシーや求めている体験はさまざまであることが分かります。

 小売店のオペレーションDXにハイブリッド対応が必要であるならば、マーケティングDX(=リテールメディア)にもおなじくハイブリッド対応が必要です。後述する店頭体験を引き起こすための1to1メッセージにも、オンライン・オフラインを組み合わせたチャネル横断を実施する必要があります。

 チャネル横断にはもう1つ重要なポイントがあります。いくつものチャネルで横断的に施策を展開できるアセットを持つ場合、1st partyデータホルダーである小売業者は、各ターゲットにおけるマーケティングファネルの最初(認知の獲得)から最後(購買)までのジャーニーにリーチできる価値を持つようになります。

 認知から購買に至るまでのジャーニーを設計し、最終的な購買までをKPIとして追えるようなメディアは他になく、他の広告媒体に比べて強力な独自性を持てるようになるでしょう。

●パーソナライズした店頭体験を

 最後にご紹介するのは「体験の壁」です。皆さんは「リテールメディア3.0」という概念を耳にしたことがあるでしょうか。リテールメディア3.0はリテールメディアにおける理想の姿として、より洗練し、パーソナライズした広告体験を創出することを目指しています。

 2023年末に行われたNRF(全米小売業協会)の大型カンファレンス「Retail's Big Show」において、リテールメディア3.0に向かう上で特に重要とされたのが、パーソナライズした店頭体験の創出です。

 小売店の店頭は利用客にさまざまな体験をもたらす場でもあります。小売店はこれまでも、POPの掲示やアイランド陳列など、来店者の視点を集める取り組みを行ってきました。リテールメディアの発達により、このアプローチにテクノロジーが組み込まれることになります。1st Partyデータを基にしたターゲティングで、来店者一人一人のニーズに即したメッセージを届け、気持ちよく実際の行動に移してもらえるようになっています。

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