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オタフクが作った「“この味”に近いソース」を探すAI レシピ開発の属人化を解消

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月19日 6時30分

オタフクが作った「“この味”に近いソース」を探すAI レシピ開発の属人化を解消

試作室の様子(画像はオタフクソース提供)

 多くの読者になじみ深いだろう「お好みソース」を始め、液体調味料を開発・製造しているオタフクソース。実は、新たに開発する商品のうち9割が特注品だ。スーパーに並ぶ商品のような「オタフクマーク」はつけないもので、惣菜用のとんかつソースや飲食店のお好み焼きソースとして使われる。

 こうした特注品の試作は、社員の経験やスキルによって所要時間が大きく変化する分野だ。属人化の課題を解決しようと、産業システム事業などを手掛けるIHIと同社が共同で、AIを用いた新たなシステムを開発した。一体どのようなシステムなのか。また、業務プロセスにAIを導入するに当たり、障壁になったこととは? 研究室長の吉田充史氏に話を聞いた。

●「あの商品に近い味」を探すAI 経験・スキルによる差の解消目指す

 オタフクソースが開発する特注品のうち3~4割程度が、「他社のあの商品の味に近づけてほしい」と注文される「ベンチマーク品」だ。ベンチマーク品の開発はかなり時間のかかる作業だと、吉田氏は話す。

 目指したい味のサンプルがある場合、まずは分析装置で成分を測定する「理化学分析」や、人が味見をして評価をつける「官能評価」を行う。そうして得た分析データや「甘い」「しょっぱい」といった言語データを、同社が保有している1万5000以上もの製品や試作品のデータと照合して、近いものを探す。言語検索は、完全一致でなければヒットせず、知識や経験が必要だ。

 検索にヒットしたデータは、一つ一つページを開いて中身をチェックし、記載されている原材料から味をイメージする。過去に近い味を作った経験があれば、原材料の配分比を見てイメージできるが、経験年数が浅い社員にとっては大きな手間だ。作業の所要時間は人によって異なるが、30分~2時間程度かかるという。

 呼び出したレシピをベースに、付加価値のある原材料を加えたり、「この地域で今好まれている味」など同社の分析を基にした改良を加えたりしながら、試作と提案を繰り返し、特注品を作り上げていく。これが従来の流れだった。

 一連の作業の中でも、社員の経験によって所要時間の差が大きい「レシピ検索」をAI活用で短縮化したのが、今回の新システムの要点だ。

 蓄積してきたデータの中から、AIがベンチマーク品に近い味を見つけ出し、類似順に並べて表示する。言語データの検索は完全一致している必要はなく、特徴を言語化している文章でも検索可能になった。

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