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『ぼっち・ざ・ろっく!』映画、なぜ人気? 漫画に「音楽」が重要なワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月28日 12時20分

 主題歌のみならず、音楽をアニメのストーリーやキャラクターと密接に関わらせた代表例として、1980年代の『超時空要塞マクロス』がある。作中には多くの曲が登場し、作中のキャラクター「リン・ミンメイ」を演じる飯島真理が歌唱も担当した。マクロスの劇中歌、リン・ミンメイの歌がアニメの枠を超えてヒットしたことが、アニメ×音楽の枠を広げる1つのターニングポイントになったといえるだろう。

 以降、『めぞん一刻』や『らんま1/2』におけるキャラクター名義の楽曲の登場、作中キャラクター名義のキャラクターソングの増加、アニメ声優本人たちによる『サクラ大戦』のミュージカル化など、アニメ×音楽の領域は広がっていった。

 2000年代に入ると、さらに領域は拡大していく。女性客を多く取り込んだ『テニスの王子様』のミュージカル、ニコニコ動画を中心に人気を博した『涼宮ハルヒの憂鬱』の劇中歌・キャラクターソングなどが代表例だ。以前は奇異の目で見られていた“アニメ関連楽曲のチャート入り”が珍しいものではなくなったのがこの頃である。

 そのような時代で、音楽そのものをテーマとした作品が登場する。漫画・アニメにおける『けいおん!』、ゲームにおける『アイドルマスターシリーズ』である。『けいおん!』は女子高生によるバンド活動をテーマにした4コマ漫画およびアニメであり、出版社を同じくする『ぼっち・ざ・ろっく!』とは共通点も多い。『けいおん!』劇中のバンド『桜高軽音部』の楽曲やライブのヒットで市場を開拓したことが、『ぼっち・ざ・ろっく!』劇中のバンド「結束バンド」のヒットにつながっているといっても過言ではない。その他にも2010年代には『ラブライブ!』や『BanG Dream!(バンドリ!)』など、アニメ作品と音楽コンテンツを組み合わせた形態が定着している。

 経緯を振り返ったところで、「漫画・アニメ×音楽・音楽ライブ」というメディアミックスがどのように採用され、どのような効果をもたらしているか考察したい。

●「非日常消費」にいかに引き込むか

 まず、コンテンツを「消費者接点の形態」と「消費特性」の2軸で分類・整理する(図表1)。消費者接点の形態は、書籍や映像・音楽そしてグッズなど関連商品が並ぶ。特性は「日常」と「非日常」で分類する。映像で考えるなら、TVアニメや配信アニメは日常的に消費するものであり、映画館や応援上映は非日常消費となる。コンテンツマーケティングでは、この「非日常消費」へ誘導することが大きな鍵となる。

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