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タクシーは3時間待ち──地方の深刻な人手不足は「むしろ勝機」 地銀9行が手を組み、何を仕掛けるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月25日 8時40分

タクシーは3時間待ち──地方の深刻な人手不足は「むしろ勝機」 地銀9行が手を組み、何を仕掛けるのか

地銀9行が手を組み、何を仕掛けるのか

 レストランで注文しても、料理の提供まで1時間かかる。タクシーに乗ろうにも、当日の呼び出しでは3時間待ちを覚悟しなければならない。いずれも深刻な人手不足によるものだ。ベンチャーキャピタル(以下、VC)のUB Ventures(東京都千代田区)で代表を務める岩澤脩氏が地方都市で実際に経験した実話である。

 こうした状況にあえぐ地方の中小企業を、ベンチャーとのマッチングで好転させられないか──。UB Venturesと地方銀行9行は7月3日、「地域課題解決DXコンソーシアム」を発足した。人材不足が深刻な地方企業の生産性向上を手掛けるスタートアップの情報を集約し、連携を図るという。具体的には、どのような取り組みを進めていくのだろうか。

●地銀とVCで地方に「スタートアップの力」を──どんな取り組み?

 コンソーシアムの取り組み内容は主に3つだ。まずは3カ月ごとの定例会でその都度テーマを設定し、各地域の産業別の課題を調査・分析する。次に、国内で空洞化が問題となっている30の産業に対し、課題解決の手法を持つスタートアップを3~5社ずつリストアップ。そして、実際に解決に向けた取り組みを推進していくため、成功事例の収集を行う。地域横断で知見を共有し、地理的・心理的にハードルが高いスタートアップと地方中小企業との連携を進めていく。

 取り組みの期間は2年間。その後については未定だというが、「9行の皆さまとモデルケースを作り、第一地銀のみならず第二地銀、信用金庫に拡大できれば」(岩澤氏)としている。

●地方で目の当たりにした、想像以上の人手不足

 岩澤氏は、約1年前からコンソーシアムの発足に向けて準備。全国各地の50の地域金融機関を回った。

 “地方行脚”をする中「東京に住んでいると、想定すらしない」(岩澤氏)ような形で、地方の人手不足を実感する機会があったという。例えば、ある空港でレストランに入ったところ、キッチンの人手不足で注文から提供までに1時間を要することを知らされた。この日に限った話ではなく、この状態が恒常化している様子だった。

 また、地域の主要ターミナル駅の前にタクシーがいないのは当たり前。のみならず、宿泊したホテルで「タクシーを当日オーダーすると、3時間待ちになる」とアナウンスを受けることもあった。

 こうした現状に多くの地方金融機関が危機感を抱いているが、岩澤氏は訪問を重ねる中で、金融機関の二分化を実感した。地域経済に取り組もうとするあまりに地域に閉ざしていってしまうか、越境志向で課題解決を図るかだ。横断的な取り組みに賛同した鹿児島銀行、佐賀銀行、山陰合同銀行、四国銀行、静岡銀行、常陽銀行、中国銀行、福岡銀行、山口銀行の9行と立ち上げに漕ぎ着けた。

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