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最終面接の「お祈りメール」が内定に NTTドコモやDeNAが認めたスカウトサービス

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月26日 8時30分

 大手ゲーム会社からベンチャーのゲーム事業部の内定につながったり、ベンチャー企業から銀行のベンチャー支援業務の内定につながったりしている。ABABAを通じて異業種に就職する学生もいるようだ。内定獲得だけでなく、キャリアの選択肢の広がりという副次的な効果もあるのかもしれない。

 最終面接というお墨付きによって他社からスカウトが来る──お祈りメールという不和を解消する画期的なサービスだが、サービス誕生の裏には久保氏の幼馴染の「最終選考落ち」という辛い思い出があった。

●ありそうでなかったサービス 従来の就活に風穴

 ABABA誕生のきっかけについて、久保氏は「3歳からの幼馴染が本命企業の最終選考に落ちてしまい、とても落ち込んでいるのを見たのがきっかけです」と当時を振り返る。

 ABABAは「考えてみれば、ありそうでなかった」就活支援サービスだが、労働人口が減少の一途をたどる日本において、同業界はレッドオーシャンを極める。

 久保氏はABABAのポテンシャルについて「最終選考の不採用通知がスカウトにつながるという仕組みはこれまでになかったので可能性は感じていました。ただ、『最終面接で落ちた学生を企業が必要とするのか』は検証すべき点でした」と話す。

 「経営者や人事の方へのヒアリングを通じて、最終面接まで行く学生は人間性含め、ある程度のポテンシャルがあると評価されている、と分かりました。最終面接落ちの理由は、学生自身ではどうしようもないことも結構あると思っています。人事は取りたいけど上の判断だったり、去年だったら受かっていたけど今年は優秀な人が多くて落ちてしまったりなどです。そういう人が集まっているプラットフォームがあれば利用したいという声は実際多くいただきました」(久保氏)

 2024年5月末時点での導入社数は1300社に上る。導入企業からは「縁がなかった学生さんをサービスを通じて応援できるのが嬉しい」「6月以降に内定辞退もあり、母集団形成が難しくなっていく中でABABAを利用して無事に採用できた」という意見が届いている。企業が「お祈りエール」として不採用通知の中でABABAへの登録を案内できる点も支持されているようだ。

 一方で「実利のメリットが薄い」「わざわざ導入する理由が……」という消極的な声があるのも事実だという。しかし、学生にとって負の感情を強く抱きやすい最終面接落ちという状況を、次の可能性に変換することにABABAが貢献しているのは間違いないだろう。

 企業にとっても、優秀な学生との出会いにつながるだけでなく、競争が激しい新卒採用のプロセスを少しでも縮めることができる。

 ABABAはさらなる成長に向けて、2024年3月に経団連に入会した。久保氏は「大手企業の開拓はかなり難しい。経団連に入ったことでタッチポイントが持てて導入が決まった企業もあります」と自信を見せる。ABABAの成長には採用人数の多い大企業の取り込みが不可欠となる。経団連への入会は追い風になりそうだ。

 学生にとって就活は、これから続いていく長いキャリアの第一歩となる。「お祈りメール」という形で企業側が一方的に幕を下ろすのは、あまりにも重いエールの送り方ではないか。ABABAが生んだ新しいエールが、就活の風景を少しずつ変え始めている。不安を抱えながら社会に飛び込もうとする学生の背中を押すことも、企業の責務だと信じたい。

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