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なぜSuicaのペンギンは愛されるのか ペンギンの顔をした「ベレー帽」が“激アツ”の理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月7日 7時30分

 それぞれの店にどのような特徴があるのか。東京店は八重洲南口改札内に店を構えていたこともあって、「食べ物」がよく売れたそうだ。旅行の帰りや帰省の際に「東京のお土産」として、菓子類を購入する人が多かった。売り上げ構成比を見ると、食べ物が半分ほどで、残りは雑貨や文具が上位に並んだ。

 一方、上野店と新宿店は「アパレル」がよく売れている。例えば、ペンギンの顔がデザインされている「Suicaのペンギン オカオベレー帽」という商品があるが、半年で800個ほど売れた。つくってもつくっても、すぐに完売するようだ。ファンではない人からすれば信じられない数字に見えたかもしれないが、これが先ほどの質問に対する答えである。どういうことか。

 店内でイベントを開いたときのことである。ペンギンの撮影会が行われたとき、ファンはどのような姿をしていたのか。多くの人がこのベレー帽をかぶっていた。つまり、ペンギンのベレー帽をかぶることで、分身と一緒におでかけをしていたのだ。

●ペンスタの特徴は「縦売り型」

 店舗運営を担当している、JR東日本クロスステーション リテールカンパニーの吉儀大史さんはペンスタの特徴をどのように見ているのか。取材をしている中で、吉儀さんは「縦売り型」という言葉を何度も口にした。

 売り上げを効率的に伸ばすために、マーケティングの世界では「一部の商品をどんどん売っていく」という戦略がある。他の商品よりもたくさん売れて、グラフの形状が縦に伸びていることから「縦売り」と呼ばれているが、ペンスタは典型的な「縦売り型」の店舗だという。人気のある商品はつくってもつくっても、生産が追い付かず、「完売」の文字が並んでいることが多い。

 それにしても、ペンスタはなぜこれほど人気なのか。個人的に、その理由は2つあると思っている。1つは、商品の95%がオリジナル商品であることだ。

 東京店では100種類ほどの商品を扱っていたが、上野店と新宿店では600種類ほど。ほとんどの商品が「ここでしか買えないモノ」なので、ファンにとっては希少性を感じ、店内でグッズを見ると「あれも、これも」といった具合に、衝動買いする人が珍しくないようだ。それは数字にも現れていて、売り上げは当初の想定と比べて3倍ほど、単価は2倍ほど上回っているという。

 もう1つは、キャラが設定されていないこと。冒頭で紹介したように、Suicaのペンギンには名前がない。南極から来て、好きな食べ物は魚肉ソーセージ。「情報が少ない=キャラ設定をしない」理由として、JR東日本は「ICカードの分身的な存在だから……」と説明している。この話を聞いたとき筆者は「モンチッチ」のことを思い出したのである。

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