リテールメディアは“何が”強みなのか? マーケティングに与えるインパクトとは
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月9日 8時10分
・フロントメディア(インストアメディア):来店者が店舗に入店してから会計・退店するまでの経路に設置された広告タッチポイント。サイネージ・店頭メディア
上記3つのうち、フロントメディアが店頭体験創出への重要なキーであり、「リテールメディア3.0」の概念でも重視されています。フロントメディアは消費者の購買意向が高まったタイミングでメッセージを届けられるという特徴を持ったメディアです。消費者の行動を邪魔する要素を最小限にして施策を展開、体験創出へとつなげられるわけです。
フロントメディアにおける体験創出の手段として、北米で重視されているのはサンプリング(商品・ノベルティーなどの無償提供)です。これまでほとんどのサンプリングは、マーケティングファネルでいうところの「比較検討」から「購入」へと移行するプロセスにおいて、明確な実証性をもってアプローチできる手段ではありませんでした。いわば“バラマキ”に近い状態だったといえます。
フロントメディアなら、消費者に自社商品を選んでもらうことにつながる施策を、実購買データという根拠を持って実行できるようになります。加えてサンプリングを手にした来店者が、その後もその商品を使い続けているかという検証も可能になります。この点が、これまでイベントや商業施設などで行われていたサンプリング施策との大きな違いといえるでしょう。
●「フロントメディア×サンプリング」の強力さ
北米で「フロントメディア×サンプリング」が重要視されている理由は、以下の先行研究からも分かります。
・サンプリングを受け取った消費者は、店舗やスポンサーメーカーに対して特別なロイヤリティーを感じるきっかけになる(Laochumnanvanit and Bednall 2005)
・実際に製品を使用する体験は、自ら選択し、自ら生み出すものであるため、体験なしに起こる学習とは対照的に、想起の面で永続的な優位性を持つ(Hoch 2002)
・サンプリングのような経験的な学習様式を経て得られた製品に関する知識は、強く保持されたブランド信念や態度を発展させ、将来の製品使用とより強い相関関係を持つ(Fazio and Zanna 1978; Smith and Swinyard 1988)
上記の研究で指摘されているように、サンプリングは広告コミュニケーションの強力な手段の1つとされています。そこに、リテールメディアでの“実購買データによるターゲティング”が組み合わされば、さらに強力になるのは間違いありません。
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