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クラファンの存在意義はどこへ向かう? 寄付から物販、「地下Vtuber」を推す場へ変わる今

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月10日 9時35分

 その理由としてまず、中小Vtuberの資金調達源としてYouTubeの広告収入やスーパーチャット(投げ銭)は非常に不安定であることが挙げられる。目的が明確化したクラファンのプロジェクトであれば、熱量の高いファンに直接応援を呼び掛けることができ、安定した収益を確保できる。

 特に、Vtuberは何かとお金がかかる職業だ。例えば、新たな「モデル(衣装に相当するもの)」を制作するためには、モデリングやモーションの作成を制作会社などに依頼することになる。その相場は一概に言えないが、数百万円単位の金額がかかることも珍しくない。

 企業に所属し、チャンネル登録者数が100万人を超えるような大手Vtuberなら話は別だが、個人で活動している中小Vtuberがこうした大金を用意するのは容易ではない。そこでクラファンというわけだ。

 調査会社ユーザーローカルによると、Vtuberの数は2022年11月28日時点で2万人を超えたとされている。小規模ながらコアなファンを抱えたVtuberもまた多数生まれている。「地下アイドル」を想像してもらうと分かりやすいかもしれない。

 こうした熱量の高いファンに直接応援してもらう手段として、クラファンは有効に機能する。スーパーチャットとの大きな違いは「リターン」の存在だ。リターンは応援金額の多寡によって、グッズやサイン入りブロマイド、オリジナルボイスや動画、「直接電話できる権利」などが用意されている。大手Vtuberでは難しいような、よりファン個人に向けたリターンを用意できるのは「クラファン×中小Vtuber」の強みだろう。

●クラウドファンディングの未来

 クラファンは今後も進化し続けるだろう。物販型プロジェクトの増加は続くと予想されるが、同時に寄付型や投資型のプロジェクトも多様化していくことが期待される。また、VTuberを始めとする推し活プロジェクトも増加し、クラファンの利用者層はさらに広がるだろう。

 クラファンは単なる資金調達手段にとどまらず、新しいマーケティングチャネルとしても注目されている。企業や個人がクラファンを活用することで、新しいビジネスモデルやプロジェクトが次々と生まれている。このような背景から、クラファンは今後ますます重要な役割を果たしていくだろう。

 クラファンは、その多様性と可能性に満ちている。物販型プロジェクトの増加により、新商品やサービスの市場投入が容易になり、推し活プロジェクトの例のように、ファン=支持者とのエンゲージメントも強化されている。ビジネスパーソンにとっても、クラファンは新しいビジネスチャンスやマーケティング手法として活用できる可能性がある。この機会にクラファンの世界を再考し、自身のビジネスにどのように取り入れるかを検討してみてはいかがだろうか。

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