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たまにウソつく生成AIに「契約書管理」は無理? 「40年の歴史」持つ言語解析AIが再評価されるワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月11日 8時20分

たまにウソつく生成AIに「契約書管理」は無理? 「40年の歴史」持つ言語解析AIが再評価されるワケ

Contract Oneの事業責任者を務める尾花政篤氏

 2022年末のChatGPTの登場以来、ビジネスの世界では生成AI技術の可能性に沸き立っている。多くの企業が競うように最新のAI技術を自社サービスに組み込み、イノベーションの波に乗ろうとしている。しかし、生成AIが万能かというとそんなことはない。

 Sansanが2022年にリリースした契約書管理サービス「Contract One」は、最新の生成AI技術だけでなく、40年の歴史を持つルールベースの言語解析技術を中核に据えている。なぜSansanはこのような選択をしたのか。

 契約書関連の業務をデジタル化する、いわゆるリーガルテック市場は活況だ。コロナ禍に急速に普及した電子契約を皮切りに、人間に代わりAIが契約書のレビューをサポートする契約書レビュー、締結した契約書をデジタル化して保管・管理する契約書管理、そして案件受付から契約締結までの修正プロセスを支援するものまで、リーガルテックは多種多様だ。その中で、Contract Oneがフォーカスするのが契約書管理である。

●生成AIの限界と、ルールベース技術の再評価

 Contract Oneは、契約書管理における異なるニーズに対応するため、3つの異なるAI技術を巧みに組み合わせている。それぞれの技術がどのように活用され、どのような課題を解決しているのか、詳しく見ていこう。

 Contract Oneの中核を成すのが、契約書から主要9項目を抽出する機能だ。この機能には、Sansanが長年培ってきた独自のOCRエンジンと手入力による補正を組み合わせた技術が使用されている。

 Contract Oneの事業責任者を務める尾花政篤氏によれば、「『契約先名』『契約書タイトル』『契約締結日』『契約開始日』『契約終了日』『解約通知期限日』『自動更新の有無』『自動更新期間』『金額』という9項目は、契約管理の基本となる情報だ。これらを正確に抽出することで、契約の有効期限管理や自動更新の判断、さらには取引先ごとの契約状況の把握が可能になる」という。

 契約書管理SaaSでは、有効期限が迫っていたり更新が必要だったりする契約について、アラートを出して知らせる機能が特徴の1つだ。そのためには、契約終了日や自動更新の有無、自動更新期間などが正しく登録されていることが必要不可欠。この正確性が重要になる。

 契約書の解析では、高い精度が要求される。誤った解析結果は、ビジネス上の重大なリスクにつながりかねない。「AIで導いた項目を『これで合っていますか?』と提示するのではなく、『これで間違いありません』といえるサービスを提供したかった」と尾花氏は語る。

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