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世界の電子決済アプリが1つにつながるか 電子マネー・プラットフォームの覇権を狙う

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月10日 15時25分

 収益源を聞くと「エンドユーザーには一切、課金をしていない」と話す。通常、クレジットカードを海外で使用すると米国なら3%、台湾では1.5%、日本でも1~3%の海外取引手数料をチャージされる。だが「HIVEXは0%」だと話し、クレジットカードとの違いを強調した。その上で「収益は加盟店からのみです。日本ならば、加盟店がPayPayにお金を払いますが、その支払われた金の一部がHIVEXに流れてくる仕組み」だと説明する。

 「クレジットカードは請求書がくるまで、いくらのレートで決済されたのかが分かりません。一方QRコード決済の場合は、決済時に画面にレートが表示されるので、総額がいくらなのかが分かります」

 これは、HIVEXが決済時のレートが表示できるようにするAPIを用意しているから可能なのだという。競合としては、アリババが提供する「Alipay+」などがある。

 個人情報の保護については、国や地域によって異なる法律が定められているため、どの企業も慎重に取り扱う。

 「HIVEXは、名前や年齢などの個人情報を収集したり、共有したりはしません。例えば、台湾人が日本で観光した際、加盟店はユーザーの購買データを取得しますが、PayPayとHIVEX側には一切提供されません。逆も同じです。HIVEXが決済時に取得し、クライアントと共有するデータは時間、通貨、金額、店舗名の4つだけです」

●“Less is More”

 個人情報を取集しないのは、エンドユーザーにとっては好ましいのかもしれない。だがHIVEXにとっては詳細な情報を取得できないため、弱みになりそうな気もする。

 「QRコード決済業者はユーザー情報、PayPayは加盟店情報、HIVEXは4つの取引データを、AIを使って分析します。この3つの情報に自社のAIを適用するビジネスを作っており、HIVEXに個人情報がなくてもビジネスが成立するようにしたいと考えています」

 手数料収入だけでは経営的に心許ない。それ以外にどんな方法で売上高を伸ばそうとしているのか。答えはこの4つの取引データの活用法にあった。

 「例えば、HIVEXは台湾の街口支付など3社のQRコード決済事業者の取引履歴を持っています。もちろん、HIVEXは年齢や性別など誰なのかは分かりません。もし、あるドラッグストアが美白の商品を台湾人に売りたいのでキャンペーンをしようとします。台湾のQRコード決済事業者はユーザー情報を持っていますから、それに合わせて彼らのアプリを使って個別にキャンペーンを実施します。その結果、台湾人客が店を訪れ、美白商品の購入につながるとドラッグストア側からお金が入ってきます。一種の成功報酬です」

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