1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

世界の電子決済アプリが1つにつながるか 電子マネー・プラットフォームの覇権を狙う

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月10日 15時25分

 前述した通り、HIVEXは4つの取引情報だけで、個人情報は取得しない。

 「HIVEXのユーザーは個人情報の悪用という心配事が減るので、逆に信頼され、取引量が増えるのです。私は新しいデータの使い方だと思っています。『Less is More』(少ない方がより豊かになる)ですね」

 このビジネスを成功させるには、第1段階として「日本と台湾の両市場でしっかりビジネスを確立することが重要」だと考えているという。観光庁が3月に発表した「訪日外国人消費動向調査」の2023年暦年調査結果(確報)の概要によると、1位は台湾の7835億円。つまり来日した台湾人が、いつも使っているQRコード決済を日本で使ってもらうことが、そのままビジネスになるのだ。

 第2段階のカギは、消費額で全体の75%を占める2位の中国から第9位のベトナムまでの国と地域で、どこまで市場を拡大できるかだ。いずれはHIVEX経由でも、中国・香港、米国、タイなどのQRコード決済事業者もPayPay加盟店で利用可能にするのが目標だという。Ling Wu創業者兼CEOは「実現すれば、インバウンドの8割弱をカバーできる」と話す。

 第3ステップとして「日本での成功事例を海外に輸出すること」を挙げた。「もちろん、日本人がこれらの国や地域に行ったときも、訪日外国人客と同じように使いやすい環境を準備していきたいと考えています」。

●「両替所に行かない世界」到来か?

 TBCASoftは、現在40人の従業員を擁し、半数以上がエンジニアだ。コロナ期間中の2020年からの3年間は、ほぼビジネスができない状況になるなど、道のりは平たんではなかった。

 「いろんな人にHIVEXの構想を話しました。真剣に聞いてくれたのは宮内謙特別顧問(当時は社長兼CEO)がいたソフトバンクだけでした。宮内顧問にお会いした際に『将来、クレジットカードに代わる新しい技術を持った決済システムが出てきます』と話したところ、2017年にソフトバンクから投資を受けられました。クレジットカードは単なるプラスチックのカードで、カード会社は手数料を取るというビジネスモデルがほとんどです。一方、新時代の決済システムでは、本人認証も可能で、簡単なメッセージの送受信ができます」

 HIVEXが提供するサービスは、海外旅行をする人にとっては画期的だ。銀行や両替所に行く必要性がなくなる。あとは、どれだけQRコード決済事業者を増やせるのかが肝だ。Ling Wu創業者兼CEOの手腕が問われることになる。

(ジャーナリスト武田信晃、アイティメディア今野大一)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください